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Channel: ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ
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「岳人」2016年6月号の特集<韓国の山> ②日本と韓国の登山事情の違い等

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 →1つ前の記事の最後の方で「韓国の山は、やはり魅力的な岩山が特徴的」と書きましたが、高い山だけでなく、たとえばソウル近郊の低山も意外なほどの岩山です。
            

 上は北漢山(プッカンサン)の仁寿峰(インスボン)。ご覧のような花崗岩の岩壁で「東洋のヨセミテ」ともよばれているとのことです。
 その他、仁王山(イヌァンサン)、道峰山(トボンサン)、水落山(スラクサン)等も(写真で見るだけでも)「ほほう」という声が自然に出るほどの奇岩の景勝地です。
 さて、右の画像の人物ですが、北漢山・白雲荘で<歩荷(ボッカ)一筋32年>というミン・ヒョンシクさんで「多い時には50㎏の荷物を1日4回運び上げます」とのこと。うーむ、高校生の山岳部員だと20㎏のザックでもきついレベルなのに・・・。

 ここで本書に記されていた韓国と日本の登山関係のいろんな違いを略述しておきます。

①すれ違う時「登り優先、右側通行」という日本での暗黙のルールは韓国では通用しない。

②山小屋は基本的に素泊まりで、飲食物の販売はカップラーメンと若干の行動食だけ。自炊スペースは広い。予約は国立公園が一括管理していて、予約なしでは宿泊できない。したがって、→コチラでネット予約をする。(韓国語がわからない人は→英語で。) 料金は寝具なしで1泊7千~8千ウォン。毛布は+2千ウォン。
 日本と大きく異なるのは受付開始時刻が遅いこと。5~9月は18~19時、10~4月は17~18時で、その時刻にならないと客室に入れない! つまり、日本のように15時頃到着して・・・ということではないようです。

③登山地図は携帯しない人が多い。下記のように案内板等が整っているということも1つの理由のようです。
 ※5万分の1地図(1枚5千ウォン)や主な山の地図を購入するならソウルの中央地図文化社で。鐘閣駅2番出口から北100m、最初の十字路を左折後すぐの洋菓子店2F。営業時間は9:00~18:30。(土日休業。) 古地図等も含めて実にさまざまな地図を取り扱っている店です。→ http://www.camap.co.kr/

④道標・案内板が十分に設置されている。国立公園内には多目的位置表示板という標識が約500m間隔で設置されていて、これにはピーク等までの距離の他、緊急連絡用の電話番号も記されている。※ただしハングルと英字のみで漢字表記はナシ。
 実際どのような物か、韓国サイトから拾ってみました。
 下左は雪岳山、中は北漢山の多目的位置表示板で、右は鶏龍山にあるその説明板です。
          

⑤登山道は整備が行き届いている。日本ならハシゴや鎖がかかっているような岩場だと、手すりのついた階段が設置されていることが多い。(「なるべく自然の状態を残す」という日本の考え方とは異なる。) たとえば下の画像。        まあ、あれだけ年配者も大勢山に登っているので、何をおいても「安全第一」ということでしょうか。

 本書では、登山に関連した韓国語の単語と、簡単な会話についてもページを割いています。
       大体は中級レベルの韓国語学習者であればふつうに知っている単語ですが、一応要注意のものを挙げておきます。
 ザック=배낭(背嚢)、ストック=스틱、コンパス(磁石)=나침반(羅針盤)、寝袋=침낭(寝嚢)、水場=약수터(薬水ト)・샘터(泉ト)、上り道=오르막[길]、下り道=내리막[길]

 私ヌルボ、ソウルに行く度に「今度は登るゾ!」と思いつつ果たせないまま20年。(あ、南山(ナムサン.262m)だけは歩いて登ったことがあったなー。) 数日前馬耳山(マイサン)は、なんとか塔寺からのコースをただ登り、反対側に下りましたが、それだけで十分しんどかったです。せめて景福宮のすぐ後ろの仁王山(340m)・北岳山(プガクサン.343m)は1年以内に登っておかなければ! (と思っても自分自身が信用できなかったりして・・・。(笑))

映画「つむぐもの」 ヨナのセリフ、字幕は「クソじじい」ですが、モトの韓国語は何と言っていた?

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 先日「つむぐもの」という映画を観てきました。糸を紡ぐ話かと思ったらそうではなく、和紙で有名な越前市の年老いた和紙職人の剛生(石倉三郎)と、勤め先をクビになった後ちょっとした縁で韓国の扶余からワーキングホリデーで越前にやってきた女性ヨナ(キム・コッピ)が主人公。

 キム・コッピといえば、あの名作「息もできない」(2008)で女高生を演じてましたが、いつしか30代に突入。しかし今回も実年齢より若い役柄を自然に演じてます。冒頭は百済の古都扶余(プヨ)。ヨナがクビになったという勤め先はにも建物に「정림사지박물」という文字が。セリフ中にはなく当然字幕ありませんでしたが「定林寺址博物館」(→説明)ですね。職場としてなかなか良さそうなところなのに・・・って、(たぶん)そこさえクビになっちゃったダメ女だからってことで物語が始まるんですけどね。
 で、ワーキングホリデーで日本に行くことを決めると母親が「なんでまた왜놈の国に!?」なんぞと言ったりしてます。字幕では왜놈(ウェノム)を「敵国」と訳してました。直訳だと「倭奴」なんですが、まあ訳し方のむずかしいところ。しかし、かの国ではふだんの会話の中でこういうふうにわりと自然に使われる言葉なんでしょうね。日本での韓国・朝鮮人に対する蔑称はどれくらいふつうに使われているのか、私ヌルボはよくわかりません。そんなに多くはないような気はするのですが・・・。

 さて福井県にやってきたヨナですが、和紙作りの手伝いの仕事をするつもりで来たはずだったのに直前に剛生(たけお)が脳腫瘍で倒れ、身体がきかなくなってしまったため思ってもみなかった介護をするはめに・・・。全然介護の経験も知識もない上に、剛生がまた相当にヘンクツな老人で扱いにくいことこの上なし。また何よりもおたがい言葉が通じないという大障壁が立ちはだかっています。
 そんなわけで、元来気の強いヨナが韓国語で悪態をつきたくなる気持ちもよ~くわかります。

 ・・・と、ここからがやっとこの記事の核心部分。(やれやれ。)
 で、上述のヨナの悪態で何度か出てきた言葉が「このクソじじい!」。

 ここで韓国語学習者の皆さんに問題です。「クソじじい」に該当する元の韓国語は?

 私ヌルボは今まで知らなかった単語ですが、何とか聴き取ったところによると「영감쟁이(ヨンガムジェンイ)」です。

 辞書にも載っている言葉で、<NAVER辞典>には「[俗語] 老いぼれ。‘늙은이(=老人)’の蔑称」と説明されています。その他「朝鮮語辞典」(小学館)等にも「老いぼれ」という訳語が載っていますが、ヌルボ思うに「老いぼれ」よりも「クソじじい」の方が多少なりとも愛情が感じられる(?)ので、たしかにコチラの方がこの場面の訳語としては適切ですね。

 さて、この「영감쟁이」を「영감」と「쟁이」に分けてみてみると・・・。

 「쟁이」については、過去記事<韓国の消えゆく職業 「~クン」と「~ジャンイ」>(→コチラ)の中で少し書きましたが「겁쟁이(臆病者)」や「거짓말쟁이(嘘つき)」のように、「○○쟁이」という言葉には侮蔑の意の籠められていることが多いようですね。炭焼きのことを「숯장이(スッチャンイ)」と言いますが、これを「숯쟁이(スッチェンイ)」と言うと差別語になるということです。また「멋쟁이」という言葉は辞書には「おしゃれな人・しゃれ者・めかし屋・だて者・ダンディー」といった訳語が載っていますが、これも若干ケイベツ的なニュアンスが含まれているのでしょうか?(よくわからず。)

 「영감(ヨンガム)」は漢字だと「令監」。韓国の小説等ではよく見る言葉です。「朝鮮語辞典」には次の訳が載っています。
 1. 老夫婦の妻が夫を呼ぶ尊敬語。
 2. (他人の)老年の男性に対する尊敬語。
 3. [歴史用語]正三品と従二品の官吏の呼び名。
 4. 高級官僚や家柄のよい人の尊敬語。

 用例をなんとなく見ていると、バルザックの「ゴリオ爺さん」が「고리오 영감」なんですねー。「ゴリオ ハラボジ」ではなく、いろんな意味合いを含んだコチラの方が作品の内容に合っているということなのでしょう、たぶん。そういえば、「ゴリオ爺さん」の原題(フランス語)は「Le Père Goriot」。ということは「爺さん」じゃなくて「父さん」。これも「Père」には(日本語の父さんよりも)いろんなニュアンスが込められている、ということなのかな?

 はてさて、映画「つむぐもの」に戻って。上述のようにほとんど無理のようにみえた剛生とヨナのコミュニケーションが徐々に深まっていくのです。以下ネタバレは避けますが、言葉も大事ですが、それよりももっと大切なものがたしかにあるということですね、うん。(とひとりナットク。)

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月24日(金)~6月26日(日)]

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 →1つ前の記事も韓国女優キム・コッピ出演の日本映画「つむぐもの」に関係する記事です。

 昨日厚木まで行って観た「火の山のマリア」は、グアテマラが舞台でスペイン語は話さないマヤ族の娘の物語でしたが、火山の存在感が強烈で、それが主役といってもいいくらい。パカヤという2552mの活火山だそうです。
 こういった映像とともにグアテマラというあまりよく知らない所の自然や文化を垣間見られるのも映画の魅力ですが、これも書物ではわからない聴覚の魅力については「オマールの壁」で奏でられていたウードという弦楽器の音楽が印象に残っています。独特の哀調を帯びた伝統音楽で、YouTubeで探すと聴くことができます。

 あと2日で今年上半期が終わり。上記の「火の山のマリア」が今年39本目の映画でした。年間ちょうど100本観た昨年より少し遅いペース。3月頃までは「ブリッジ・オブ・スパイ」「消えた声が、その名を呼ぶ」「キャロル」「サウルの息子」「インサイダー/内部者たち」「東柱」等々印象に残る映画がわりとあったのに、春以降は全体的にイマイチといった印象。まあ春以降でも「さざなみ」「牡蠣工場」「暗殺」そして花コリで観た韓国アニメ「そばの花、運のいい日、そして青春」なんかはよかったですけどねー。
 明日か明後日もう1本観て40本にするかな・・・って何にするか? 「二重生活」とか、あ、そういえばユーロスペースで「ひと夏のファンタジア」が始まってましたね。
 「朝鮮日報」6月24日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) 「秘密はない」
   けっこう楽しめる当惑 ★★★


 「サフラジェット」
   女性、堂々と、毅然として ★★★


 「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」
   巨大化した分マヌケ度も ★★

 「クリミナル」
   悩みを下ろして見たら ★★

 「サフラジェット」は、昨年のロンドン映画祭でオープニング作品として上映されたイギリス映画。洗濯工場の労働者モード(キャリー・マリガン)を中心に1世紀前のイギリスの婦人参政権運動の黎明期を描きます。メリル・ストリープが実在した女性運動家エメリン・パンクハーストを演じています。日本公開は未定(かな?)。他の3作品は下の記事中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(6月28日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①(1) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
②(2) オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン  9.33
③(3) 同級生(日本)  9.20
④(4) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.15
⑤(5) オーヴェという男  9.13
⑥(-) ムーラン・ルージュ  9.12
⑦(6) 太陽の下  9.05
⑧(7) シング・ストリート 未来へのうた  9.03
⑨(10) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.94
⑩(-) 折れた矢(韓国)  8.92

 入れ替わりがありましたが、今回も新登場の作品はありません。一応新作といえるのは③④⑤⑦⑧。旧作と同数です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) トリコロール 青の愛  9.00(1)
②(2) キャロル  8.96(13)
③(3) ピアニスト  8.75(1)
④(-) ふたりのベロニカ  8.75(1)
⑤(-) おとなは判ってくれない  8.38(2)
⑥(5) ライフ・イズ・ビューティフル  8.34(8)
⑦(6) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.25(2)
⑧(7) 哭声(韓国)  8.18(17)
⑨(9) ブルー・ジャスミン  7.93(10)
⑩(10) ひと夏のファンタジア(日本・韓国)  7.79(12)

 新登場の④⑤も含め、あいかわらず旧作の再上映が目立ちます。
 ④「ふたりのベロニカ」は、①と同じキェシロフスキ監督の1991年の作品。韓国題は「베로니카의 이중 생활」です。
 ⑤「大人は判ってくれない」は、いうまでもなくトリュフォー監督の最初の長編大ヒット作。韓国題は「400번의 구타(400回の殴打)」で、こりゃあ何なんだ!?と思いますが、実は原題「LES QUATRE CENTS COUPS」の直訳だったのですね。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月24日(金)~6月26日(日)] ★★★

         日本より2週早い公開の「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」が1位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・インデペンデンス・デイ・・6/22 ・・・・・・・・・・699,662・・・・・・・・・・・986,464・・・・・・・・・・8,624・・・・・・・・926
       :リサージェンス
2(1)・・ジャングル・ブック・・・・・・・6/09 ・・・・・・・・・・・350,562 ・・・・・・・・・2,215,812 ・・・・・・・・18,961・・・・・・・・692
3(2)・・特別捜査 死刑囚の手紙(韓国)・・6/16・・・・237,961 ・・・・・・・・・1,002,358・・・・・・・・・・8,093・・・・・・・・522
4(3)・・死霊館 エンフィールド事件・・6/09・・・・・・・・204,807 ・・・・・・・・・1,644,708 ・・・・・・・・13,483・・・・・・・・474
5(4)・・アガシ(韓国)・・・・・・・・・・・・6/01 ・・・・・・・・・・・155,201・・・・・・・・・4,056,253・・・・・・・・・33,417・・・・・・・・486
6(新)・・秘密はない(韓国)・・・・・・6/23 ・・・・・・・・・・・137,167 ・・・・・・・・・・193,729 ・・・・・・・・・1,600 ・・・・・・・・501
7(7)・・ミー・ビフォア・ユー ・・・・・・6/01 ・・・・・・・・・・・・59,755 ・・・・・・・・・・775,576 ・・・・・・・・・6,321・・・・・・・・208
8(新)・・クリミナル・・・・・・・・・・・・・・6/22 ・・・・・・・・・・・・44,925 ・・・・・・・・・・・74,160 ・・・・・・・・・・・603・・・・・・・・342
9(5)・・ウォークラフト・・・・・・・・・・・6/09・・・・・・・・・・・・・36,943・・・・・・・・・1,144,005・・・・・・・・・・9,994・・・・・・・・227
10(8)・・哭声(韓国) ・・・・・・・・・・・・5/12・・・・・・・・・・・・・20,567・・・・・・・・・6,851,523 ・・・・・・・・55,634・・・・・・・・142
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 なんのかんの行ってもアメリカ映画は強いです。それにしてもなぜ日本よりも公開が早いのか、私ヌルボはいまだにわかりません。
 今回の新登場は1・6・8位の3作品です。
 1位「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」は、少なくとも予告編はインパクトがあった1996年の「インデペンデンス・デイ」の20年ぶりの続編。物語も「あれから20年後」なのか。その間人類は強力な防衛システムを構築した一方、エイリアンの方も進歩発展を遂げて再度襲撃してくるそうですよ。韓国題は「인디펜던스 데이:리써전스」。日本公開は7月9日です。
 6位「秘密はない」は韓国のスリラー。国会議員になりたい新人政治家キム・ジョンチャン(キム・ジュヒョク)と彼の妻ヨノン(ソン・イェジン)の娘が選挙を15日後に控えたある日行方不明になります。娘を探すため手を尽くしたヨノンは娘がいなくなったのに選挙しか頭にない夫と、事件をまともに調査しない人々に対し憤って、誰も信じられない状況の中一人で娘を探し始めます。ところがヨノンは娘の行方を追う中でだんだんと明らかになった衝撃的な真実と直面することに・・・。原題は「비밀은 없다」です。それにしても、ソン・イェジンは時代劇から現代劇、ラブロマンスにアクションにスリラーと、ホントに幅広く活躍してます。期待が高まっている「徳恵翁主」は8月公開です。
 8位「クリミナル」は、アメリカのSFアクションスリラー。CIAエージェントのビル(ライアン・レイノルズ)は、ワシントン、ベルリン、北京を廃墟にする 反政府テロ組織の背後を追跡していたところ、逆に彼らに狙われて重要な記憶を残したまま殺されてしまいます。テロを防ぐ手がかりを失わないため、CIAは脳科学研究の権威フランク(トミー・リー・ジョーンズ)の主導でビルの記憶と能力を凶悪犯で投獄されている死刑囚ジェリコ(ケビン・コスナー)に移植します。ジェリコは、最終的にテロを食い止めるため、そしてビルの妻ジリアン(ガル・ガドット)を守るための戦いを決意します・・・。俳優陣は豪華なのになんかB級臭が漂ってるようだゾ。韓国題は「크리미널」。日本公開は今年中です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ボーン・トゥ・ビー・ブルー・・・・・・・・6/09 ・・・・・・・・・・・・・・10,103・・・・・・・・・・・・68,858・・・・・・・・・・・・・558 ・・・・・・・・・61
2(3)・・炎のランナー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/16 ・・・・・・・・・・・・・・・5,658・・・・・・・・・・・・26,200・・・・・・・・・・・・・168 ・・・・・・・・・63
3(5)・・私たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/16 ・・・・・・・・・・・・・・・5,250・・・・・・・・・・・・16,335・・・・・・・・・・・・・127 ・・・・・・・・・42
4(2)・・シング・ストリート 未来へのうた・・5/19・・・・・・・・・・・・・・・4,309・・・・・・・・・・・552,278 ・・・・・・・・・・・4,428 ・・・・・・・・・35
5(6)・・私の少女時代・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/12・・・・・・・・・・・・・・・1,309・・・・・・・・・・・405,436 ・・・・・・・・・・・3,286 ・・・・・・・・・21

 今回の新登場はありません。

韓国生まれの大人気学習漫画<サバイバルシリーズ> ジオたちが干潟であのケブル(ユムシ)と遭遇!

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 私ヌルボ、<サバイバルシリーズ>という子供たち(&その親たち)に大人気の学習漫画のことを知ったのは、「児童書で学ぶ韓国史」と題した1年ほど前の過去記事(→コチラ)に寄せられたカイカイ反応通信愛読者さんのコメントが最初でした。
 その後市立図書館で見てみようと思って探してみると、35冊あるこのシリーズ本の蔵書のすべてが予約待ちでいっぱい! その数は30~100人くらい。これでは予約しても自分の番が回ってくるまで何ヵ月かかることか、と思って断念。
 ところが、たまたまこの5月にある書店の児童向け学習漫画の棚に「干潟のサバイバル1・2」があるのをみつけました。
 「もしや」と思い1・2巻をパラパラめくっていくと、ありましたがな、ふっふっふっ。・・・何のことかというと、昨年(2015年)8~9月4回に分けて書いたケブル(=ユムシ)です。(最初の記事は→コチラ。) それも1コマだけというのではなく、けっこういろいろ描かれている上、ユムシ以外の干潟の生物についてもたくさん取り上げていて、全体的に「おもしろてためになる」本のようです。これは何ヵ月かかっても図書館で借りて読むかという気になって検索したところ、ありゃ、蔵書にない!? 8千円の「日本語訳 国連北朝鮮人権報告書」も購入してくれた図書館なのに・・・。そこでリクエストしたら、新本購入ではなく他市の図書館から借りた本を渡してくれました。
 ユムシが登場するのは「干潟のサバイバル 2」の方。その表紙が上左の画像。右は元の韓国版です。韓国語の書名は「갯벌에서 살아남기」なんですね。つまり、<サバイバルシリーズ>は韓国では<살아남기 시리즈>というわけです。

        さて、どんな筋立てになっているかというと、主な登場人物は上の3人。
 左から、このシリーズの最近の10数作(かな?)で活躍する主人公のジオ。そしてこの巻で登場する干潟体験団の優等生サラ、そしてムツゴロウ漁師の後継者海鮮(うみき)。うーむ、これで「うみき」と読ませるのか・・・。原書では彼の名は「해문(ヘムン)」となっていてジオからは「해물(ヘムル)」と呼ばれたりしてますが「해물(海物)」とは海産物のことで、たとえば「해물탕(海物湯)」なんかはふつう海鮮鍋と訳したりしてるので、そう考えれば直訳に近いかも。またサラは原書では아라(アラ)。この変更は日本名としての自然さ重視かな?
 
 干潟体験に行く途中、ジオは睡眠不足で倒れた仲間のケイのカバンを預かることになります。現地の干潟に行った彼はそこで自分を馬鹿にしたサラと海鮮を相手に口論となります。ところがジオが持ってきたカバンをサラが無断で開けて中に入っていた探査服を着てしまいます。続いてジオも海鮮も着用したその探査スーツは実はノウ博士の発明品で、彼ら3人は小さくなったまま干潟の生物と死闘を繰り広げることに・・・というわけでサバイバルの物語が始まります。
 
 1巻から貝殻に閉じ込められたり、おぞましい姿のスゴカイイソメと死闘を繰り広げたりとピンチの連続。なんとか切り抜けて2巻に入ると、裏表紙(右画像)にあるように潮が満ちてきて干潟の穴に逃げ込むのですが・・・。

 そこでついにユムシ(ケブル)と出会うことに・・・。

 ジオはユムシのことを知らなかったようですね。

 次のページではユムシの巣穴の説明。

 このようなU字形の巣穴だと、シギのようなクチバシが長く曲がっている水鳥にも捕食されることはありません。

 ところが、ユムシよりずっと小さくなってしまっている3人は下のコマのようなはめに・・・。(笑)

     
 まあ例によってこの難局は乗り越えますが、その後もテナガダコ等々といろいろあったりして、以下は略しておしまい。

 そして最後に、まとめの説明。ユムシについてはずいぶん詳しく記されています。


 「香りが良くて淡泊な味」とありますが、先のコマで「ユムシに比べたらゴカイの方がかわいいわ」と言ってたサラちゃんが「わあ、おいしい」と食べてますねー。この本を読んだ日本の子供(と大人)ははたして食べたいと思うかどうか? ちなみに私ヌルボ、昨年来これだけ書いていながらこの3ヵ月で2回韓国に行ったのにまだ食べていません。ま、そのうち。

 ※朝日新聞出版のサイト中の<サバイバルシリーズ>の公式サイト(→コチラ)によると、このシリーズは世界中で2千万部も読まれているとか。日本では55点刊行されているようです。(→コチラの記事ののんきさんのコメントでは「すでにほとんど全巻持ってます」とのこと。それはスゴイ!です。)

 ※韓国版についての情報は、主として<ナムウィキ>から。→コチラによると<보물찾기 시리즈(宝探しシリーズ)>とともにアイセウム出版社のメシのタネなのだそうです。→コチラによると、第6次シリーズだけでも18作品(32冊)が刊行されてます。その6月シリーズの登場人物は→コチラ、主人公のジオについては→コチラで実に細かく書かれています。「ピピは冗談じゃなく汚い女主人公だ」等々、その本を読んでいくても笑っちゃうくらい。
 毎度のことながら、<ナムウィキ>のオタク度&ユーモアは大したものです。

3冊(+α)チェーンリーディング② 大正時代の詩人アナーキスト中浜哲が朝鮮に行った理由

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 5月15日の記事(→コチラ)で卞宰洙(ピョン・ジェス)「朝鮮半島と日本の詩人たち」(スぺース伽耶)を紹介しました。その本で取り上げられている詩人90人の中で、名前からして知らなかった約40人中の1人が中浜哲です。

 その本に掲載されている詩は「何處へ行く?」と題された詩の一部です。

  髭の凍る冬の晨だつた
  京城の裏長屋を借りて住んで居た
  『久さん』は漢江へスケートと魚釣りを見に出掛けた
  『鐵』は朝鮮芝居の楽屋へ潜り込んで行つた
  『大さん』は辦當を携へて圖書舘へ通つた

  オンドルは無かつたが
  アンカは有った
  三人は其日の収穫を語り合つた
  朝鮮の夜は重苦しかつた
   (※文字の表記は上右画像の「中浜哲詩文集」(黒色戦線社.1992年刊)に拠る。)

 つまり、この詩の一節は中浜哲が自身を含め3人で朝鮮・京城にいた時のことを回想したものです。
 この詩についての記事は→コチラの<朝鮮新報>のサイトで読むことができます。
  ※題の「何處へ行く?」が「何故へ行く?」になっていたり、「『大さん』は~」の1行が抜けているので要注意。
 その説明にもあるように、『久さん』は和田久太郎、『鐵』は中浜哲(本名:富岡誓(ちかい)、『大さん』は古田大次郎です。(大二郎も誤り。)
 では、中浜たちは何のために朝鮮に行ったのでしょうか?

 卞宰洙さんの説明文には彼らが「1920年代の無政府主義者」だったこと、そしてこの詩の一節は「朝鮮に身を避けていた時期を描いたもの」とは記されていますが、一体何から身を避けていたのか書かれていません。もう少し詳しく知りたいと思い、図書館で関連書を探してみると、意外なほど多くの本が出ていました。

 たとえば竹中労「黒旗水滸伝 大正地獄篇(下)」(皓星社)には、かわぐちかいじによる次のような挿画がありました。
       ちょうど上掲の詩に相応するような中浜・古田・和田の3人が京城の街を歩いている絵です。描いたのは(あの「沈黙の艦隊」の)かわぐちかいじです。ただ、「朝鮮憲兵隊司令官」福田雅太郎という肩書は間違いだし、彼を暗殺するべく海を渡ったというのも事実とは異なるのですが・・・。
 この本のキャッチコピーを見ると「あの竹中労と若き日のかわぐちかいじが描く! 革命家、美女・妖女、テロリスト、大陸浪人、快人・怪人が織りなす大正アナキズムの世界。」とあります。私ヌルボ、竹中労の本を読むのは何年ぶりか・・・。いやあ、やっぱり情熱とパワーのこもった本です。この下巻は、歴史教科書の見出しにふつうにある「大正デモクラシー」という微温的な(?)言葉からイメージされる大正後期の社会とは違い、テロが頻発する殺伐とした時代像を描き出しています。(竹中労は、60年代後期の学生・労働者運動の高揚と、この大正時代後期を重ね合わせていたのですね。)
 ★テロ事件の例 1921(大正10)年 9月28日 国粋主義者朝日平吾により安田善次郎暗殺。
                   同年11月 4日 中岡艮一により原敬首相暗殺。
            1923(大正12)年12月27日 社会主義者難波大助が皇太子・摂政宮(後の昭和天皇)を狙撃。(虎ノ門事件)
                              ※この事件は、ちょうど中浜や古田が京城に来ていた時に起こった。

 基本的なことですが、彼らが属していた組織は1922年中浜哲が中心になって結成したfont color="scarlet">ギロチン社という組織です。なんとも穏やかではないこの名は「首になった人間の集まりだから」(「中浜哲詩文集」中の倉地啓司「ギロチン社」)という意味とのことです。ギロチン社について高校日本史の教科書には載っていません。中浜哲が1922年10月古田大次郎たちとともに結成した無政府主義の結社です。中浜はすでに単独で同年4~5月来日中のイギリス皇太子の暗殺を計って御殿場・岐阜・京都・神戸とピストルを持って追うものの機を逸して失敗しています。

 私ヌルボ、このギロチン社関係の本をいろいろ漁ってみて知ったのは、中浜哲以外にも優れた文才・詩才を示したメンバーが実に多かったこと。古田大次郎は後に死刑に処せられる前に遺書として書いた「死の懺悔」が数十版を重ねるベストセラーとなり、和田久太郎は飄然とした俳句を作る人で、松下竜一「久さん伝」(講談社)や正津勉「脱力の人」(河出書房新社)等で好意的にとりあげられています。
 ※これらの人々については「日本アナキズム運動人名事典」にかなり詳しく説明されています。また→コチラのサイトは日本(&朝鮮)のアナキズム関係の人物・運動・組織について驚くほど多くの情報を提供しています。

 ギロチン社の資金源は、いわゆる<リャク>でした。掠奪の「掠」。つまり大会社に対する強請(ユスリ)で、とくにハッタリが強く弁舌に巧みな中浜が指南役となり、三井・岩崎・古河・安田等の富豪や三越・高島屋等の百貨店、満鉄・芝浦製作所・日本ビール等の大会社から平均20~30円程度、多い時には200~300円をせしめていました。ただ、そのほとんどは生活費と遊興費に費消されたのですが・・・。
 このような<リャク>の時も、またメンバーたちが私娼窟に繰り出す時も仲間に加わらなかったのが古田大次郎でした。早稲田大出身(中退)でテロリストの道を自ら選びながらもまじめでピュアな一面を持ち合わせていた人物で、対照的な性格の中浜とは無二の親友といった間柄でした。そんな彼が関東大震災が起こった翌月の1923年10月はからずもギロチン社による最初の(そして最後の)殺人にはからずも手を染めてしまったのは皮肉なことでした。
 それは古田が小川義雄、内田源太郎とともに大阪の第十五銀行玉造支店小坂派出所で現金運搬の行員を襲った事件で、彼らは現金の奪取に失敗したばかりか古田が銀行員をはずみで刺殺してしまったというものです。
 古田等は逃走し、彼が事件の主犯ということも知られませんでした。しかし「この事件が彼らの運命を決定した。古田大次郎は強盗殺人の現行主犯となり、中浜鉄はその教唆主犯となった。もはやあとがえりできぬ地点を、彼らは踏みこえてしまったのだ。」(平野謙「さまざまな青春」)・・・というわけで、古田は「内地にウロツイていては危険だという中浜の心配からしばらく朝鮮にでも遊ぶということとなった」(古田大次郎「死刑囚の思い出」)のです。

 ・・・これが古田等が朝鮮に渡った理由その1です。
 そして2つ目の理由は爆弾や拳銃の入手。仲間の逮捕に対する報復や脱獄の計画、あるいは(大杉グループの)和田久太郎や村木源次郎が企てている大杉栄虐殺に対する復讐計画への協力のために必要という中浜と古田の判断でした。

 まずその年(1923年)11月半ば過ぎに古田が中浜の友人で朝鮮に詳しい高島三次を「お守役兼案内者」として朝鮮に渡ります。
 2、3日後内地に帰った高島に変わって中浜がやってきます。その後金策のため古田は12月末に内地に戻り、1月末に和田久太郎とともに再び朝鮮に渡ります。冒頭の詩の一部分は、この1924年2月の3人の京城での生活の一コマです。彼らの当地での生活やそこで見聞したこと等は古田大次郎「死刑囚の思い出」(「日本人の自伝8」(平凡社)所収)にいろいろ具体的に記されています。その内容はなかなか興味深いことが盛りだくさん。

 また、朝鮮で爆弾や拳銃を入手するといっても中浜等には成算はあったのか? なんらかの伝手(つて)があったとしたら、それはどのようなものだったのか? これも関連書を20冊ばかり読むうちに見えてきました。

 ・・・どうもチェーンリーディング(1冊→1冊)というよりも1冊→3冊→9冊という核分裂型リーディングになって収拾がつかなくなってしまいました。次回は中浜等の京城体験か、彼らと朝鮮独立をめざすテロ組織との接点についてのいずれかについて書きます。

2016年版 韓国の映画ファンが選んだ「好きな俳優」「演技力のある俳優」のベスト5

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 2011年7月の<韓国の映画ファンが選んだ「好きな俳優」「上手い俳優」「優れた監督」のベスト5を見て・・・・>(→コチラ)と、2014年5月の<2013年版 韓国の映画ファンが選んだ「好きな俳優」「上手い俳優」「優れた監督」のベスト10>(→コチラ)の後続記事です。2014年「朝鮮日報」の関係記事を探したものの見当たらなかったのですが、最近になって映画専門メディアのマックスムービーと「朝鮮日報」が共同主催して毎年この調査を続けていることを知りました。

 さて、この2016年版ですが、2015年5月~2016年4月の1年間で1回以上映画館での観覧経験のある観客を対象に5月9~15日メールアンケートを実施し、10,286人の観客の回答の結果をまとめたもの、とのことです。

  【好きな俳優】
《男優》   ※元記事は→コチラ
 1位 ファン・ジョンミン 13.7%
 2位 ソン・ガンホ     12.2%
 3位 ハ・ジョンウ     10.8%
 4位 カン・ドンウォン   6.1%
 5位 イ・ビョンホン    4.0% 
《女優》  ※元記事は→コチラ 
 1位 キム・ヘス     25.9%
 2位 チョン・ジヒョン   12.8%
 3位 チョン・ウヒ     11.5%
 4位 チョン・ドヨン     6.8%
 5位 ソン・イェジン    5.4%

  【演技力がある俳優】
《男優》  ※元記事は→コチラ
 1位 ソン・ガンホ     24.1%
 2位 ファン・ジョンミン  17.6%
 3位 チェ・ミンシク     8.6%
 4位 イ・ビョンホン     8.3%
 5位 ハ・ジョンウ      7.2%  
《女優》   ※元記事は→コチラ
 1位 キム・ヘス      25.5%
 2位 チョン・ドヨン     19.8%
 3位 チョン・ウヒ      12.6%
 4位 ユン・ヨジョン     4.7%
 5位 チョン・ジヒョン    4.3%  

 以下、私ヌルボの補足&感想。
 
 【好きな俳優】と【演技力がある俳優】の《男優》は、至極当然の顔ぶれ。中でもファン・ジョンミンは「国際市場」(2014)以後「ベテラン」(2015)・「ヒマラヤ」(2015)・「検事外伝」(2016)・「哭声」(2016)と驚異の連続大ヒットですからね。ハ・ジョンウの連続ヒットもファン・ジョンミンには及ばすといったところ。【好きな俳優】部門でトップを続けていたソン・ガンホもファン・ジョンミンにその座を奪われたとはいえ演技力は誰もが認めるところで、今回で3年連続1位。「王の運命-歴史を変えた八日間-」(原題:「思悼(サド)」では、英祖の<威厳ある王>と<息子の教育に悩む父>という両面をさすがの風格で演じていました。
 おなじみのイ・ビョンホンは「インサイダーズ/内部者たち」(2015)、カン・ドンウォンは「検事外伝」(2016)という大ヒット作が多くの映画ファンの印象に残ったのでしょうね。(前者は日本でも公開されましたが、おもしろかったにもかかわらずさほど話題にならなかったのが残念でした。)
 好きな俳優の6~10位は、6位がチョ・ジヌン。彼も2015年の「チャンス商会」「暗殺」、今年に入って「アガシ」等、注目作に続けて出演しています。続いてコン・ユ、チョン・ウソン。コン・ユは今年2月チョン・ドヨンと共演した「男と女」が公開されました。そして若手のユ・アインとソン・ジュンギ。ユ・アインは「ベテラン」、「王の運命-歴史を変えた八日間-」と続けて精神に変調をきたして目が泳いでいる若者を演じていました。その印象が強くて、ヌルボとしては5年前の「ワンドゥギ」の彼のことが思い出せません。(笑) ソン・ジュンギは今話題のドラマ「太陽の末裔」で人気沸騰のようですね。映画では今ファン・ジョンミンやソ・ジソプも出演する「軍艦島」の撮影中だそうです。(公開は2017年。) なお、チョ・ジヌンとユ・アインは演技力の部門でもベストテン入りしているようです。あとドラマ「未生」で注目されたイ・ソンミンも。

 《女優》では、両部門でトップ、それも他の追随を許さないほどのキム・ヘスの強さが目立っています。とくに【好きな俳優】部門では4年連続。ただ、私ヌルボは彼女の映画は「2階の悪党」等少ししか観てなく、あまり印象に残ってないのですが・・・。彼女は映画もさることながらドラマによく出ていて、とくに今年1~3月tvNで放映された「シグナル」は相当な人気だったようで、そこらへんがこの高順位の理由かも・・・。
 あいかわらずベテラン女優の名前が目につきますが、その筆頭は演技力がある俳優中のユン・ヨジョン先生。最近では日本でも最近公開された「チャンス商会 ~初恋を探して~」(2015)で堂々の主演。またホン・サンス監督の「今は正しいがその時は間違いだ」にも出演していました。
 チョン・ドヨン、ソン・イェジンと共に10年以上前からおなじみのチョン・ジヒョンは、2015年は何といっても「暗殺」のヒロインを演じて人気が再燃しましたね。
 そんな30代以上のベテラン女優がずらっと並ぶ中、例外ともいえる若手女優で両部門3位にランクインしたのがチョン・ウヒです。
 彼女に関するニュースで思い出すのが2014年12月の青龍映画賞の授賞式。「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」というマイナーな映画に出演した彼女が‘破格中の破格’で女優主演賞を受賞し、「感激のあまり号泣!」したというもの。(→コチラ参照。)※右画像は韓国映像資料院の「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」関係の展示物。今年に入ってからは「解語花」、「哭声」と注目作に相次いで出演し、1年余りの間にすっかりメジャーの人気女優になりましたね。
 なお、【演技力がある俳優】部門で昨年まで3年連続1位だったチョン・ドヨンは、昨年~今年は出演作の興行成績が伸びなかったことが響いたようだ、との分析です。

 キム・ヘスの突出した人気以外は総じて想定内の結果と言っていいでしょう。ただちょっと残念に思ったのは、人気監督の部門が探しても見当たらなかったことです。

★「朝鮮日報」の関連記事<韓国の映画館でも増える「お一人様」映画鑑賞>は→コチラ。上記のアンケート調査についても概観しています。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月1日(金)~7月3日(日)]

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 1つ前の記事→<2016年版 韓国の映画ファンが選んだ「好きな俳優」「演技力のある俳優」のベスト5>にもちょいと目を通してみて下さい。

 シネマ・ベティで観た「王の運命-歴史を変えた八日間-」(原題:「思悼(サド)」)は至極まっとうな歴史劇でした。「ハッタリがない」ということ。韓国の歴史ドラマファンにはおなじみの例の思悼世子の米びつ閉じ込め事件を扱ったものなので、もしかしたらまた老論vs少論の党争がグジャグジャと展開されるのかと思ったら、それよりも父・英祖(ソン・ガンホ)と思悼世子(ユ・アイン)父子間の心理的葛藤に主軸が置かれていて、後でちょっと調べたら、党争よりもむしろこうした解釈の方がこの頃優勢のようなんですね。また、思悼が子供の頃の父とのやりとり等々のディテール(ex.「絹はぜいたくで・・・」)も史料にちゃんと載っていることだとは・・・。※ネタ元はいつもの→<ナムウィキ>です。

 「ひと夏のファンタジア」、ユーロペースは21:00~の1回だけだし、どうしたもんかなーと思っていたら、関内の横浜シネマリンで7月9日(土)から上映とはラッキー! コチラは10:30~。
 「朝鮮日報」7月1日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) 「グッバイ・シングル」
   家族の誕生、まずは慶祝 ★★★


 「ターザン:REBORN」
   傷はないけど興もない ★★★

 「ハングリー・ハーツ」
   俳優の演技が欠点隠す ★★★


 「私たちの恋愛の履歴」
   ヘビンの魅力が花開く ★★☆

 「狩り」
   面白くもない追跡劇 ★★


 「セル」
   別に怖くないゾンビ物 ★★

 「ハングリー・ハート」は、2014年の東京国際映画祭で上映されたイタリア映画。ニューヨークを舞台に子育てをめぐって葛藤する夫婦の姿を描いた作品。詳細は→コチラ。「私達の恋愛の履歴」は韓国のラブロマンス。再起を願う女優ヨニ(チョン・ヘビン)と映画監督志望の演出助手ソンジェ(シン・ミンチョル)は別れた後も同僚&友人として関係を続けます。その後2人が共同で制作したシナリオが映画化される機会が訪れますが、そこで2人の関係は予想もしなかった危機にぶつかります・・・。「セル」は、スティーブン・キングの同名の原作(新潮文庫)の映画化。ボストンのある秋の日の午後、謎の強力な電波によって、携帯電話を使用していたすべての人々が一瞬にして怪物へと変貌してしまいます。クレイ(ジョン・キューザック)は、離れ離れになった家族と再会するために危険な旅に出ます・・・。の3作品は下の記事中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(7月5日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①(1) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
②(2) オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン  9.33
③(-) 私たち(韓国)  9.26
④(-)アバウト・タイム~愛おしい時間について~  9.19
⑤(4) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.16
⑥(5) オーヴェという男  9.12
⑦(6) ムーラン・ルージュ  9.12
⑧(7) 太陽の下  9.05
⑨(8) シング・ストリート 未来へのうた  9.03
⑩(-) ルーム  8.99

 入れ替わりがありましたが、今回も新登場の作品はありません。今回も新作と旧作はちょうど半々。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) トリコロール 青の愛  9.00(1)
②(2) キャロル  8.96(13)
③(3) ピアニスト  8.75(1)
④(4) ふたりのベロニカ  8.75(1)
⑤(6) ライフ・イズ・ビューティフル  8.34(8)
⑥(7) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.25(2)
⑦(8) 哭声(韓国)  8.18(17)
⑧(-) 奇跡〈2011年〉(日本)  7.86(7)
⑨(-) そして父になる(日本)  7.82(10)
⑩(10) ひと夏のファンタジア(日本・韓国)  7.79(12)

 新登場は⑧「奇跡〈2011年〉」だけです。同じ是枝裕和監督作品でも、⑨「そして父になる」と比べると評価は今イチだったような・・・。ヌルボも観てません。韓国題は「진짜로 일어날지도 몰라 기적(本当に起こるかもしれない奇跡)です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月1日(金)~7月3日(日)] ★★★

         キム・ヘス主演のコメディ「グッバイ・シングル」が1位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(38)・・グッバイ・シングル(韓国)・・6/29・・・・・・・・・652,626・・・・・・・・・・・908,630・・・・・・・・・・7,333・・・・・・・・839
2(新)・・ターザン:REBORN ・・・・6/29 ・・・・・・・・・・・405,824・・・・・・・・・・・552,175・・・・・・・・・・4,697・・・・・・・・593
3(新)・・狩り(韓国) ・・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・298,678・・・・・・・・・・・533,397・・・・・・・・・・4,047・・・・・・・・690
4(1)・・インデペンデンス・デイ・・6/22・・・・・・・・・・・・189,964 ・・・・・・・・・1,392,681・・・・・・・・・11,917・・・・・・・・508
       :リサージェンス
5(2)・・ジャングル・ブック・・・・・・・6/09 ・・・・・・・・・・・179,335 ・・・・・・・・・2,477,629 ・・・・・・・・21,041・・・・・・・・588
6(4)・・死霊館 エンフィールド事件・・6/09・・・・・・・・・86,127 ・・・・・・・・・1,813,466 ・・・・・・・・14,828・・・・・・・・353
7(3)・・特別捜査 死刑囚の手紙(韓国)・・6/16・・・・・81,278 ・・・・・・・・・1,198,139・・・・・・・・・・9,595・・・・・・・・409
8(5)・・アガシ(韓国)・・・・・・・・・・・・6/01 ・・・・・・・・・・・・61,558・・・・・・・・・4,215,244・・・・・・・・・34,642・・・・・・・・361
9(7)・・ミー・ビフォア・ユー ・・・・・・6/01 ・・・・・・・・・・・・44,155 ・・・・・・・・・・870,393 ・・・・・・・・・7,069・・・・・・・・184
10(19)・・(500)日のサマー・・2010/1/21 ・・・・・・・・・・・38,771 ・・・・・・・・・・201,577 ・・・・・・・・・1,567・・・・・・・・156
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・2・3・10位の4作品です。
 1位「グッバイ・シングル」は、人気断トツの(※1つ前の記事参照)キム・ヘス主演のコメディ。トップスターのチュヨン(キム・ヘス)は数々のスキャンダルの主。(チュヨンという名前は<主演>と同じ。) しかし次第に落ちていく人気とボーイフレンドの裏切りにショックを受け、永遠の味方を作るため立てた計画というのが→なんと妊娠発表。全国民的なこの独身スターのスキャンダルに、チュヨンの親友でありスタイリストのピョング(マ・ドンソク)と所属事務所のスタッフは後始末に追われます・・・。肩の凝らない楽しい映画のようですね。原題は「굿바이 싱글」です。
 2位「ターザン:REBORN」は、あのターザンの「その後の物語」か。ジャングルで動物たちに育てられたターザンですが、英国貴族として裕福な暮らし送っていたところ、政府の命により外交のため故郷へ戻ることに。しかしそれが罠だったとは・・・。それにしても、最初のターザン映画が1918年ということは第1次大戦の頃。1世紀も前なんですね。有名なターザン俳優ワイズミューラーは1930年代か。たしか映画「風の中の子供」(1937)もあの叫び声を上げていたような・・・。そして60年代の子供も。(今の子供はどうなのかな?)韓国題は「레전드 오브 타잔」。日本公開は7月30日です。
 3位「狩り」は韓国のアクション。人気の少ない山で金脈が発見され、金が出たという話を偶然聞いたドングン(チョ・ジヌン)は怪しい猟師を連れて山に登ります。人生大逆転の機会を迎えた喜びもつかの間、そこの土地の持ち主の老婆が現れ、口論の果てに老婆は崖から転落してしまいます。一方、過去の炭坑崩壊事故の後遺症に悩まされていたキソン(アン・ソンギ)は、それでも毎日のように山に入って猟をしていましたが、ある日山崩れのために入山禁止となっている山で怪しい猟師の姿を発見し、後を追うと・・・。そう、偶然その転落事故現場を目撃することに・・・。原題は「사냥」です。
 10位「(500)日のサマー」は、2010年のアメリカ映画の再上映。韓国題は「500일의 썸머」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ボーン・トゥ・ビー・ブルー・・・・・・・・6/09 ・・・・・・・・・・・・・・・4,611・・・・・・・・・・・・80,467・・・・・・・・・・・・・648 ・・・・・・・・・33
2(3)・・私たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/16 ・・・・・・・・・・・・・・・3,961・・・・・・・・・・・・23,722・・・・・・・・・・・・・183 ・・・・・・・・・41
3(2)・・炎のランナー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/16 ・・・・・・・・・・・・・・・3,783・・・・・・・・・・・・33,227・・・・・・・・・・・・・215 ・・・・・・・・・36
4(4)・・シング・ストリート 未来へのうた・・5/19・・・・・・・・・・・・・・・1,691・・・・・・・・・・・556,515 ・・・・・・・・・・・4,458 ・・・・・・・・・17
5(新)・・ガラスの花と壊す世界(日本) ・・・4/21・・・・・・・・・・・・・・・1,556・・・・・・・・・・・・・8,028・・・・・・・・・・・・・・・50・・・・・・・・・・2

 今回の新登場は、5位「ガラスの花と壊す世界」だけです。この【多様性映画】には日本アニメ枠といったものがありそう。つまり確固たるファン集団がいるということ。この作品、ヌルボは予告編しか観てないので(例によって)コメントする資格ナシ。韓国題は「유리의 꽃과 부수는 세계」です。

北朝鮮レストラン従業員集団脱北その後 ①「拉致」の可能性? 本人の意志確認をめぐりまたも左右の確執が激化

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 このテーマで私ヌルボが長々しく、それも2回に分けて書く記事を、「こんなクダクダしい文章を読む気にはならない」と思われる方は、<livedoor'NEWS>に「北朝鮮レストラン従業員亡命劇、韓国メディアで論争=「政治的思惑」の疑念消えず」という見出しの実にサラ~と手際よくまとめた記事(→コチラ)があるので、せめてそちらの方でも目を通してて下さい。

 4月7日中国・寧波の北朝鮮食堂の支配人(男性)と12人の女性従業員が韓国に亡命したことは日本の主要紙でも報じられましたが、4月9日の「朝日新聞」(→コチラ)等、国際面に2~3段程度の小さな扱いでした。一方、「朝鮮日報」は上画像のように9日1面トップで大きく報道しました。(2面トップにも。) 他紙は見ていませんが、代表的保守紙ということで大きく載せたのかもしれません。これだけの大人数がまとまって脱北したのは異例のことでしたが、この「事件」をめぐるその後の北朝鮮の反応もあり、また韓国内では例によっての進歩陣営と保守陣営間の対立が深刻化し、それぞれのメディアだけでなく脱北者団体等も登場し、政治の場でも問題化しつつある状態に至っています。
 以下、何がどう問題になっているか、彼等13人の韓国入国から今までの経緯を日を追って見ていきます。
 ※青字の部分は新聞記事(日本語)の要約。黒字部分は私ヌルボの補足・感想等です。

【4月7日】
★2日前(5日)、中国の浙江省寧波にある北朝鮮レストラン・柳京食堂から脱出した従業員13人(女性店員12人、男性支配人1人)が集団亡命し、4月7日韓国に入国した。

 ・・・・翌8日統一部(省に相当)がこれまでの慣行を破り、脱北者の入国直後事実を公表したことについては、4月13日の総選挙で政権側(保守陣営)が有利な材料となることをねらったものという見方がある。進歩系メディアだけでなく、保守系の「中央日報」も6月21日の社説(→コチラ)で批判しています。また4月11日には2015年5月にアフリカ駐在の北朝鮮外交官一家4人、同年7月に北朝鮮の偵察総局出身大佐が韓国に亡命していたことを記者会見で明らかにしています。(参照→4月11日付「ハフィントンポスト」吉野太一郎氏の記事)
 ※選挙前にしばしば流される北朝鮮に否定的なニュースは「北風」とよばれ、北朝鮮に厳しい姿勢をとる保守陣営に有利に働くと見られてきました。しかし今回の総選挙の結果は大方のメディアの予測に反して保守陣営(セヌリ党)の敗北に終わりました。
 なお、この集団脱北以前に韓国に亡命した北朝鮮レストランの女性従業員は過去2人いました。1人目は2004年母・妹の3人で脱北し、ポペラ歌手として知られるミョン・ソンヒ(명성희)さん。(彼女がTV番組中で歌った場面は→コチラ。) 長春の北朝鮮食堂で歌手として働いていたことがあったとか。そして2人目は、上海の北朝鮮食堂元従業員で、ソウル大出のエリート社員と熱愛の末脱北したXさん。私ヌルボ、たまたま最近「新東亜」の6月号を読んでいたら彼女のインタビュー記事があって知りました。脱北の時期も本名もその記事では伏せています。

【4月21日】
★北朝鮮赤十字社中央委員会が13人の送還を求めた。特に必要ならば北朝鮮の家族を板門店またはソウルに派遣して亡命者と会わせると明らかにした。また「我々の正当な要求を拒めば、集団誘引拉致行為を自ら認めることになるだろう」と主張した。柳京食堂で一緒に働いていた20代の女性従業員7人は、この日放映されたCNNインタビューで「仲間は支配人にだまされて韓国に連行された」と主張した。首席従業員チェ・ヘヨンさんは「韓国で苦労する仲間のことを考えると胸が張り裂ける」と涙を流した。CNNは18日平壌・高麗ホテルで彼らに会ったと報じた。 (参照→4月22日付「中央日報」)

 ・・・・このあたりまでは「想定内」ですね。ある韓国記事には、「上海の北朝鮮食堂で従業員が1人いなくなったが、店長は上部に報告せず必死で探している」といったことが書かれていました。もし韓国で13人の集団脱北が報道されなければ、北朝鮮が事実を知ったとしてもこのようなメディアを通じての抗議をやったでしょうか?

【5月3日】
★平壌で脱北した従業員の同僚や残された家族による合同記者会見が開かれた。元従業員は「今回の事件は南側(韓国)が計画した組織的な拉致行為」などと訴え、事件の朝、韓国側が仕向けた「誘拐バス」から間一髪で逃れた場面まで描写して見せた。また家族たちは、「すべては保衛指導員(秘密警察)の監督不行き届きのせいだ」として当局を強く非難した。(参照→5月4日付「デイリーNK日本」の記事・→5月13日付「デイリーNK日本」・高英起氏の記事)

 ・・・・元従業員の発言の中に、「食堂の支配人がバスに乗ってきた連中の1人に近寄って「国情院チーム長と呼びながらぺこぺこするのを直接目撃することになった」とか「(国情院の)要員らは、バスに乗った友だちだけを連れてあわただしく逃げた」などとあります。以前延吉で食堂を運営していた時から支配人と謀議をこらしていた人物とのことですが、それが事実だとすると、かなり早い段階から国情院(韓国国家情報院)が関わっていたということになり、それはたしかに問題を含んでいそうです。
 しかし、北朝鮮が「拉致」を非難するとは、多くの日本人にとっては「一体どの口が言ってかだ!?」といったところですね。元同僚の女性たち、これまで12人の数十倍もの韓国人・日本人等が北朝鮮によって拉致されていることを知ったらどう思うでしょうか?
 北朝鮮がこのようにメディアに脱北者の家族等を登場させて韓国側を非難するということはしばらく前から行われてきました。あるいは、1度は脱北した人が再び北に戻り、TVで「南朝鮮はひどいところだった」と語る等々。ただ、そこには北朝鮮当局がなんらかの脅し(「家族の安全」とか)をかけてそのように言わせたり、本人が状況を把握し、そう語ることによって保身を図ったり、といったことも十分考えられるので、話された内容がどこまで真実かは疑問。

【5月19日】
★アメリカ市民権を持つ親北朝鮮的な在米韓国人ノ・ギルナム氏が、自身が運営するニュースサイト「民族通信」で脱北ウェイトレスたち12人の顔写真・実名・生年月日を公開した。また同通信は「この中のソ・キョンアさんが「家族のもとに返して欲しいとのハンガーストライキを行う中で、死亡したことが確認された」と報じている。
 同通信によれば、北朝鮮に残された家族たちは韓国の民主社会のための弁護士の会(民弁)に本人たちとの接見を委任したが、国情院はその接見要求を拒否しているという。(参照→ 「デイリーNK日本版」)

 ・・・・ノ・ギルナム氏(72?)は北朝鮮を60回以上訪問したという親北人士で、2008年には金日成大学で博士号を取り、2014年には金日成賞を受賞したとのこと。同年10月の「東亜日報」の記事(→コチラ)では、「脱北者を含めた金正恩政権の人権弾圧には、なぜ目をつむるのか」との質問に対し「北朝鮮にはなんら人権問題など無い」と答えています。
 もしソ・キョンアさんが「民族通信」の報じるようにハンストの末に死亡したとするとゆゆしき問題です。しかし、韓国メディアも(たぶん)知り得ないことがなぜ「わかる」のでしょうか? なお、→6月20日付「朝鮮日報」は、大韓弁護士協会が推薦した国情院人権保護官の弁護士パク・ヨンシク氏の「従業員たちは北朝鮮に残してきた家族や自分たちの安全を懸念し(個人情報や発言内容が)外に出ることを絶対に望んでいない」、(従業員の一部がすでに死亡したとのうわさについて)「そんなデマを信じるのか」、「13人は全員が健康に過ごしている。そのことだけは明確にしておきたい」という発言を伝えています。
 上記のように、北朝鮮と直接パイプを持つノ・ギルナム氏を通じて民弁が北朝鮮の家族たちから委任を受けること自体も問題のタネになりそう・・・どころか、この後実際に問題とされています。

【5月24日】
★民主社会のための弁護士会(民弁)は、北朝鮮離脱住民保護センターに収容されている女性従業員たちとの面会を求めてきたが、センターを管轄する国情院はこれを拒否してきた。そこで民弁はこの日女性従業員の家族から委任を受け、ソウル中央地裁に女性従業員12人に対する人身保護救済請求を行った。その家族からの委任状は、前述のように米国在住のノ・ギルナム氏を通じて入手したものである。
 ※「人身保護救済審査請求」とは、違法な行政処分や他者の意志によって不当に施設などに収容された被害者の基本権を保障するため、裁判所に被害者の救済を求める手続き。(参照→6月22日付「朝鮮新報」その他)

 ・・・・「朝鮮新報」は、朝鮮総聯の機関誌だけあって、記事の見出しからして「集団拉致事件、女性従業員の裁判が中止に/国情院、裁判所の出頭通知を拒否」ですからね。

 さて、ここまでが4月の事の発端からの3ヵ月の前半部分。後半の6月以降は、さらにドラマチックな展開になっていきます。

 上掲の「新東亜」6月号のインタビュー記事で、今回の出来事の感想を問われた元従業員のXさんは、「家族のことが一番気懸り」、「13人が一緒に大胆な決断をした点については釈然としない、何かウラがある」、そして「メディアに脱北の事実を公開したのは本当に政府の誤り。北に残された家族が被害を受けるのです」と答えています。
 私ヌルボも同感で、最初に政府が大きなミスを犯し、その上に進歩系弁護士団体(とメディア)がどんどん事態を悪化させているように思われます。

☆直接上記の記事内容とは関係ないことですが、日本・韓国の記事で「美人従業員」という言葉を用いているものが多いことが気になりました。いかにも「男目線」です。単に「女性従業員」でいいではないですか。

 → 北朝鮮レストラン従業員集団脱北その後 ②脱北者団体から逆に「究極の選択」を迫られた進歩系弁護士団体

北朝鮮レストラン従業員集団脱北その後 ②脱北者団体から逆に「究極の選択」を迫られた進歩系弁護士組織

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 1つ前の記事の続き。6月以降、事態はさらに「ややこしく」なってきました。

 ※青字の部分は新聞記事(日本語)の要約。黒字部分は私ヌルボの補足・感想等です。

【6月21日~その1】
★(進歩系弁護士組織の)民主社会のための弁護士会(民弁)が求めていた女性従業員12人に対する人身保護救済審査請求裁判が中止となった。ソウル中央地裁は女性従業員12人を出頭させるよう国情院に出席命令召喚状を送っていたが国情院は代理人の出席を主張しこれを拒否。裁判所は女性従業員が出頭しなくてもかまわないと態度を一変させた。
 この日女性従業員12人は法廷に出席せず、法定代理人である弁護士が出席した。民弁の弁護士らも法廷に出たが裁判所は審理の非公開を宣言、また録音や速記録の作成も禁止した。その状態で審理を終えようとしたが、民弁の弁護士らは「公開裁判の原則を破った」としてその場で忌避申立を行って対抗した。(参照→6月21日付「ハンギョレ」6月22日付「朝鮮新報」)
★民弁は、会見の場で「人身保護裁判は本来、公開して行われるものであるため、改めて公開裁判を要求する」との考えを示した。さらに「政府の方から(元従業員らが柳京食堂で働いていた)事実を先に公表しておきながら「裁判をすれば身元が明らかになる」などと今になって主張するのはおかしい」とした上で「(北朝鮮に残る)家族らが危険な状況に追い込まれるとすれば、これは韓国政府が責任を取るべき問題だ。家族が危険になるのは(元従業員たち)本人も甘受しているだろうが、本人の意志とは関係なく、帰順の事実が公表されることまでは甘受していなかったはずだ」と主張した。(参照→6月21日付「朝鮮日報」)

 ・・・・極力自分の主張は抑え気味で書くように努めているヌルボですが、この民弁の会見内容が事実だとすればオドロキです。「家族が危険になるのは本人も甘受しているだろう」などと平然と(?)発言していますが、娘の言動によってその家族が危険にさらされること自体がいかに人権をふみにじり民主社会に反することかという認識が欠落しているのでしょうか? 脱北した故黄長燁(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記の家族は11親等の遠い親戚まで処刑あるいは収容所に収監されたそうですが、そんな前近代的な連座制を法の専門家としてどう考えているのか? 「家族の安全はわれわれが北朝鮮当局に強く働きかけて請け負うから」とは言えないだけでもナサケナイのに、家族に危害が及ぶことがあってもそれは韓国政府の責任とは無責任極まりない・・・って、もしかして保守紙「朝鮮日報」の伝え方の問題ですか?

【6月21日~その2】
★韓国政府当局者は北朝鮮レストランから脱出した13人の保護を決めたことを伝えた。
 これにより13人は脱北者の定着を支援するハナ院には行かず、保護施設に残り韓国社会への適応教育を受ける。
 脱北者は通常70日間保護施設に滞在した後ハナ院に移り12週間の教育を受けるが、今回の保護決定によって13人は通常の脱北者よりも保護施設の滞在期間が最長で6ヵ月長くなる見通しだ。※保護施設はハナ院よりもセキュリティー水準が高い。(参照→6月21日付「聯合ニュース」)

 ・・・・この「特例措置」を脱北者たちの保護とみるか、政府・国情院による監禁・事実の隠匿とみるか? なんという大きな認識の相違でしょうか? 国情院といえば数々の拷問や冤罪事件で怖れられたあの朴正煕時代のKCIA(中央情報部)→全斗煥時代の安全企画部の後継組織で、今ではずいぶん変わったとはいえ、進歩系の人たちにとっては依然として陰で暗躍して保守政権を助ける機関といったイメージが強いということもあるかもしれません。(あながち否定もできない?)

【6月21日~その3】
★与党(セヌリ党)の鄭鎮碩院内代表は党の会合で「民弁の主張は、北朝鮮によって完全に利用されたものだ」とした上で「(陳述の内容によっては)北朝鮮に残る家族たちが大きな危険にさらされる恐れがある」と指摘した。民弁が米国在住の親北韓国人ノ・ギルナム氏を通じ、元従業員らの家族から委任状を入手したプロセスについても問題視し、政府当局に対して徹底した捜査を行うよう求めた。野党・共に民主党はプレスリリースを通じ「中国の北朝鮮レストランからの集団脱北事件については徹底した検証が必要であり、外交統一委員会次元で多角的な努力を進めることにした」と明らかにした。(参照→6月22日付「朝鮮日報」)

 ・・・・ネタ元の「朝鮮日報」の見出しには「与野党議員が舌戦」とありますが、野党(共に民主党)の方は本文記事にもあるように「当面は今後の行方を見守るという意味合いに解釈できそう」ということですね。おそらく、党内にも親北朝鮮の色合いの濃淡があるのでは? (「色濃い人たち」の集まりだった統合進歩党は2014年12月解散させられてしまった前例もあるし・・・。)

【6月23日】
★複数の脱北者団体は記者会見を開き、民弁による人身保護救済審査請求は「従業員に対する干渉だ」と非難し、それは脱北者や北の住民たちの人権を助けるどころか、北に残っている家族の身体の自由、良心の自由、意思表明の自由を抑圧するものだと主張した。記者会見終了後、脱北者の人権を脅かしているとして、民弁をソウル中央地検に告発した。
 脱北者団体は告発状で「民弁は韓国の国家機関やその関連者の活動に対しては無条件に極度の疑いを持ちながらも、北の当局が介入した行為に対しては少しの疑いも提起しない偏向的で矛盾した行動を見せている」と主張した。(参照→6月23日付「聯合ニュース」)

 ・・・・いよいよここから新たな展開が始まりました。
 韓国にはすでに約3万人もの脱北者がいますが、北朝鮮での一般常識や生活様式と大きく異なる韓国社会では就職も困難で多くが厳しい生活を強いられています。そればかりか、以前(10数年くらい前まで?)はとくに北朝鮮を好意的に見る(主に進歩系の)人たちからは「北朝鮮で犯罪を犯して逃げてきたのでは?」とか「裏切り者」と見られたりしたこともあったそうです。(今も心の中でそう思っている人が相当数いるのか・・・。) そんなまさに人権の保護が必要とされる脱北者の団体が「民主社会のための」弁護士会を相手取って「人権を脅かしている」と告発するとは意外に思う人もいるかもしれませんが、以前からの韓国ウォッチャーにしてみれば「やっぱりなー」といったところです。
 ※在日2世で1960年「帰国船」で北朝鮮に渡り、2003年に脱北に成功した鈴木栄子さんはこの民弁の集会で発言したこと等を→コチラの7月4日付の記事<”民弁”の脱北者人身救済請求、このまま置くべきか>で記しています。「質疑応答の時間に発言権を得た私は北朝鮮は人権について口を開けるような国ではないし、北朝鮮とつながっている民弁もとんでもないことに手を貸していると話した」とのことです。また「もしも脱北してまだ何ヶ月にもならない人たちの家族の再会が論じられるならば北朝鮮帰国事業で北朝鮮へ行った人たちは55年が過ぎた今日までもどうして日本への往来が認められず、親兄弟にも会えないで死んでいっているのか?」とも。
 ※自身脱北者でもある「朝鮮日報」姜哲煥客員記者は、6月22日付「朝鮮日報」で<脱北従業員の人権を蹂躙する韓国の「民主派」弁護士団体>と題した記事(→コチラ)で、「13人の元従業員たちも平壌に残る家族を思えば当然夜も寝られないだろう。・・・金正恩政権は彼女らのこのような感情を悪用し、家族を逆に前面に出すことでその気持ちに揺さぶりをかけようとしているのだ。これは故・金正日総書記の時代には行われなかった手口だ」とし、「この国の一部の弁護士たちが、彼女らを法廷に立たせて真実を明らかにするなどと口にしている。これこそまさに人倫に反する極悪な犯罪行為に他ならない」と民弁を厳しく批判しています。

【7月1日】
★脱北者のグループが北朝鮮の強制収容所などに収監された家族らの救出を求め、裁判所に人身保護救済請求を求める文書を提出した。
 また朝鮮戦争の際に北朝鮮に連行され、最近になって生存が確認された被害者の家族も、同様の保護請求を求める計画だ。拉致被害者家族会は「政府が公式に認めた拉致被害者516人も全員が対象で、まずは平壌に住んでいることが確認された21人について請求を行いたい」と述べた。
 家族会などはこの日、民弁に今回の訴訟の弁護を要請したことも明らかにした。「民弁は韓国政府が脱北者を拉致したなどとして人身保護を請求したが、それなら逆に北朝鮮による拉致が正式に確認された被害者の弁護も当然引き受けるべきだ」と主張している。(参照→7月2日付「朝鮮日報」)

 ・・・・「朝鮮日報」の記事の見出しは<脱北者ら、韓国の民主派弁護士団体に意趣返し? 民弁に「北朝鮮の政治犯収容所にいる家族の救済」を要請>となっています。近頃の日本人でも知らない人がふつうにいそうな「意趣返し」といった言葉を使うとは、「朝鮮日報」にはなかなかの日本語の熟達者がいるものです。
 たしかに、韓国に拉致された(?)人たちの人身保護を請求するのであれば、脱北者たちの家族の身辺の安全を求めるのも正当な請求であり、また「(拉致された?)彼らを北朝鮮に返せ」というなら「北朝鮮に拉致された人たちを韓国に返せ」という要求を退けるわけにはいかないでしょう。とはいうものの、民弁の立場としては・・・。

 この記事の見出しで<逆に「究極の選択」を迫られた・・・>と書きました。
 究極の選択その1は、これまでの記事でもふれましたが具体的に書くと今回の脱北者(拉致被害者?)たちが直面した次のようなものです。
 彼女たちが公の場(法廷)で「自分の意志で脱北しました」と言えば北朝鮮の家族たちが危険にさらされ、(家族を救おうと)「拉致されて(orだまされて)来ました」と言えば(意に反して)自分が北朝鮮に戻らざるを得なくなる、ということ。
 この究極の選択その1は国情院の強権(?)により阻まれましたが、民弁は全然別の究極の選択2がわが身に降りかかってくることは予測していなかったのではないでしょうか?
 はたして民弁が家族の安否を心配する脱北者たちの要求を受け入れ、彼らの家族の人身保護請求を提出したり、拉致被害者の送還を求めるといった北朝鮮当局を困らせることができるでしょうか?
 それができればリッパだとヌルボは思いますが、できない(やらない)でしょう、たぶん。北朝鮮にとっては「裏切り者」の脱北者の弁護を引き受けると、民弁も(意に反して)北からは「裏切り者」になってしまいます。しかし脱北者や拉致被害者家族の要求を退けると「なんで拒否するのか?」との非難は当然出てくるわけで、その場合どんな理由づけをするのかがむずかしいところ。

 私ヌルボ、民弁の弁護士たちが望んでいた「かくあるべき展開」は次のようなものだと推測します。
 (1)12人の脱北従業員女性たちが「私たちは意に反して連れて来られた」と証言する。
 2)この「拉致事件」は、総選挙で与党が有利になる材料とするため国情院が仕組んだ「企画脱北」であることが明らかになる。
 (3)従業員女性たちは北朝鮮に戻り、家族たちと喜びの再会を果たす。
 ・・・これでめでたく一件落着。
 もしかして、「この想定のどこが間違っているのか?」と本気で問い返す人は少なからず(4、5人に1人くらい???)いるかもしれません。
 要は、今の保守政権&国情院と北朝鮮のどちらがより信じられるか?といった点に帰着するのでしょうか?

 私ヌルボとしては、これまで何度か書いてきたことですが、韓国の進歩系の人たちの北朝鮮認識は相当に甘いと思っています。
 本ブログ6月24日の記事(→コチラ)で紹介した「国連北朝鮮人権報告書」は韓国では本になっていないし、その報告をまとめた国連北朝鮮人権調査委員会のマイケル・カービー委員長(当時)も北朝鮮の人権問題に対する韓国の無関心について講演・記者会見等の場で嘆きを込めて語っています。(→コチラの記事参照)

 以上、日本語の記事を中心に亡命事件(拉致事件?)のその後をたどってきました。私ヌルボの見解は上述のように民弁や進歩系メディアに批判的、いや、それ以上に「これはひどい!」とさえ思います。
 しかしそれはそれとして、本来的に正義感の強いと思われる進歩系の人たちがなぜそのように考えるのか?ということも冷静に探ってみたくて、いろいろ韓国の記事も読んでみました。たとえば、「朝鮮日報」の記事1つ1つに具体的に反論している「オーマイニュース」の記事(→コチラ)等。

 今後のことですが、もしかして、左右両派間で少なくとも韓国・北朝鮮を問わず拉致・監禁や連座処罰等のないようにすることを確認しあうとか、家族が圧力や干渉等を受けず彼らだけで会えるよう第三国に場所を設定する等の合意はできないものでしょうか?(それでさえも不安は残りますが・・・。) もっとも、双方とも相手を信頼していないし、一般に韓国では「妥協=敗北」という感覚があるようなので、実現可能性はゼロに誓いでしょうが・・・。
 とりあえずは究極の選択の逆襲を受けた民弁の判断に注目。すでに7月8日には脱北者団体の会長を含む3人と面談をしたことまでは報じられています。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月8日(金)~7月10日(日)]

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 シネマリンに「ひと夏のファンタジア」を観に行ったら、地元(五條)の撮影地マップ等の他に柿のお菓子をくれました^^。(上画像) 「かむほどに広がる 完熟柿の自然な甘み」なんて「カム(감)」が韓国語で柿ということを意識したわけではないですよね、もちろん。
 で、この映画ですがほぼ予測通りですがいろんな点で特異というか微妙というか・・・。監督が行き当たりばったりで仕上げた作品のようで、「巧んで」巧まざる映画らしく撮ったようにも思えるし、観る側も時に気になるような登場人物間の会話の「間」のぎこちなさを「自然な感じ」として肯定的に受けとめる(多くの?)人もいればその逆の人もいるようだし・・・。私ヌルボの個人的感想はその中間でした。<NAVER映画>で関連映画として「恋人までの距離〈ディスタンス〉」を挙げていたのは「なるほどねー」です。

 「暗殺」は7月16日から公開。康熙奉氏等による対談記事は→コチラ。本ブログのシリーズ記事<多角的に見る韓国映画「暗殺」(ネタバレほとんどナシ)>は③(→コチラ)で止まったままになっちゃってますが、15日までには続きを書かなければ・・・。

 韓国では最近是枝裕和監督が注目されているようで、「奇跡〈2011年〉」、「そして父になる」に続いて7日からは「幻の光」の上映が始まりました。そういえば上記シネマリンでも「海よりもまだ深く」が上映中ですね。まだ観てないので行ってこようかな? あ、予告編でファン・ジョンミン主演の「ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~」をやってたな。7月30日~とのこと。
 「朝鮮日報」7月8日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) 「ファインディング・ドリー」
   心に欠落感を持つ皆に ★★★☆

 「ハンズ・オブ・ラヴ」
   どんな愛であれ正しい ★★★


 「ナイス・ガイズ」
   荒っぽいが憎めぬ奴ら ★★★

 「鳳伊 キム・ソンダル」
   まるで詐欺、騙されるな ★★

 「ハンズ・オブ・ラヴ」は、10年ちょっと前のアメリカの実話に基づく物語。長年刑事として働いてきた女性ローレル(ジュリアン・ムーア)はステイシー(エレン・ペイジ)という若い女性と出会って恋に落ち、その後2人は一緒に暮らし始めます。ところがローレルは末期がんを患い、余命は半年。彼女はステイシーに遺族年金を遺そうと思いますが、同性のパートナーには受給の権利はないとして認められません。そこでローレルは病と闘いながらこの既存の制度との闘いを始めます・・・。日本公開は11月26日。「ナイス・ガイズ」はアメリカの犯罪アクション・コメディ。
1970年代のロスを舞台に、腕力で事件を解決する示談屋ジャクソン・ヒーリー(ラッセル・クロウ)と、シングル・ファーザーの私立探偵ホランド・マッチ(ライアン・ゴズリング)がポルノスターの死に関連した法務局長の娘の失踪事件に取り組むことに・・・って、銃撃戦あり、ヴァイオレンスありの上なんでお笑いまであるんですかねー? 他の2作品は下の記事中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(7月12日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①(1) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
②(2) オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン  9.33
③(-) 雨に唄えば  9.27
④(3)私たち(韓国)  9.24
⑤(-) ベン・ハー  9.23
⑥(4)アバウト・タイム~愛おしい時間について~  9.19
⑦(5) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.16
⑧(-) 許されざる者  9.15
⑨(6) オーヴェという男  9.14
⑩(-) 小さな恋のステップ(韓国)  9.14

 ③⑤⑧⑩の4作品が新登場ですが、どれも旧作の再上映。これで新作は④⑦⑨の3作品だけになってしまいました。
 ③「雨に唄えば」は1952年公開のジーン・ケリー監督・主演のミュージカルの傑作。韓国題が「사랑은 비를 타고(愛は雨に乗って)」とは知りませんでした。
 ⑤「ベン・ハー」はアカデミー賞11部門受賞の1959年公開の歴史スペクタクル。韓国題は「벤허」です。
 ⑧「許されざる者」は1992年クリント・イーストウッド監督・主演の西部劇。韓国題は「용서받지 못한 자」です。
 ⑩「小さな恋のステップ」は、原題の「아는 여자(知ってる女性)」を見てわかりませんでした。2004年のチョン・ジェヨンとイ・ナヨン共演のラブコメ。私ヌルボは観てませんが、なかなか好評だったようですね

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) トリコロール 青の愛  9.00(1)
②(2) キャロル  8.96(13)
③(3) ピアニスト  8.75(1)
④(4) ふたりのベロニカ  8.75(1)
⑤(-) ベン・ハー  8.75(1)
⑥(5) ライフ・イズ・ビューティフル  8.34(8)
⑦(6) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.25(2)
⑧(7) 哭声(韓国)  8.18(17)
⑨(8) 奇跡〈2011年〉(日本)  7.86(7)
⑩(9) そして父になる(日本)  7.82(10)

 新登場は⑤「ベン・ハー」だけです。これについては上述しました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月8日(金)~7月10日(日)] ★★★

         日本より10日早く公開のアニメ「ファインディング・ドリー」が1位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(23)・・ファインディング・ドリー・・7/06 ・・・・・・・・・・852,109・・・・・・・・・1,015,094・・・・・・・・・・8,432 ・・・・・・1,091
2(21)・・鳳伊 キム・ソンダル(韓国)・・7/06 ・・・・・・・779,201・・・・・・・・・1,048,391・・・・・・・・・・8,461・・・・・・・・942
3(1)・・グッバイ・シングル(韓国)・・6/29・・・・・・・・・・652,626 ・・・・・・・・・1,732,612 ・・・・・・・・13,978・・・・・・・・771
4(新)・・グランド・イリュージョン・・6/29 ・・・・・・・・・・196,987・・・・・・・・・・・197,970・・・・・・・・・・1,722・・・・・・・・412
       見破られたトリック
5(2)・・ターザン:REBORN ・・・・・6/29 ・・・・・・・・・・・119,796・・・・・・・・・・・813,365・・・・・・・・・・6,851・・・・・・・・481
6(6)・・死霊館 エンフィールド事件・・6/09・・・・・・・・・87,708 ・・・・・・・・・1,900,513 ・・・・・・・・15,533・・・・・・・・176
7(4)・・インデペンデンス・デイ・・6/22・・・・・・・・・・・・・34,005 ・・・・・・・・・1,488,415・・・・・・・・・12,678・・・・・・・・262
8(5)・・ジャングル・ブック・・・・・・・6/09 ・・・・・・・・・・・・27,603 ・・・・・・・・・2,530,972 ・・・・・・・・21,469・・・・・・・・201
9(59)・・残穢〈ざんえ〉 ・・・・・・・・・6/01 ・・・・・・・・・・・・24,774・・・・・・・・・・・・34,917 ・・・・・・・・・・・290・・・・・・・・280
       -住んではいけない部屋-(日本)
10(10)・・(500)日のサマー・・2010/1/21 ・・・・・・・・・・・23,159 ・・・・・・・・・・252,736 ・・・・・・・・・1,999・・・・・・・・127
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・2・4・9位の4作品です。
 1位「ファインディング・ドリー」は、2003年に日本公開され、大ヒットしたディズニー・アニメ「ファインディング・ニモ」の続編。前作では父マーリンがわが子ニモを捜す物語でしたが、今作は前作で活躍した忘れん坊のドリーがわずかに残る記憶をもとに生き別れた両親を捜すためニモとマーリン親子の協力を得て冒険の旅に出ます。が、人間に捕まって研究所に連れて行かれてしまい・・・。韓国題は「도리를 찾아서」。日本公開は7月16日です。
 2位「鳳伊(ポンイ) キム・ソンダル」は、韓国のアクション・コメディ時代劇。天才的な知力にルックスまで備えた詐欺師キム・ソンダル(ユ・スンホ)は、変装専門のポウォン(コ・チャンソク)と占い料強奪専門のユン・ポサル(ラ・ミラン)、有望な詐欺師の卵キョニ(シ・ウミン)と共にさまざまな奇想天外な詐欺行為を繰り返し、全国に名声を轟かしていました。ところが、朝鮮一の値打ち物のタバコを奪い取る準備をしていたソンダルたちは、その背後に権力者ソン・デリョン(チョ・ジェヒョン)がいることを知り、彼を騙すため大勝負を仕掛けます・・・。原題は「봉이 김선달」です。
 4位「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」は、「グランド・イリュージョン」(2013)の続編。前作で登場した凄腕マジシャンたちの“フォー・ホースメン“はイリュージョンショーで人を欺き、不正に搾取された金だけを奪い続ける集団でした。今回はラスベガスでショーを披露しつつ、はるか離れたパリの銀行から大金を強奪してみせる・・・。この驚くべき犯罪にFBIとインターポールは目をつけ、捜査を開始しますが・・・。韓国題は「나우 유 씨 미 2」。日本公開は9月1日です。
 9位「残穢〈ざんえ〉-住んではいけない部屋-」は、小野不由美の山本周五郎賞受賞ホラー小説が原作。好きな作家ですが未読で、映画も観ていないので、まずは図書館で本を借りて・・・と思いましたが、うげ、予約してる人が約80人も・・・。韓国題は「잔예 - 살아서는 안되는 방」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ベン・ハー・・・・・・・・・・・・・・・1972/9/07 ・・・・・・・・・・・・・・・7,099・・・・・・・・・・・・28,868・・・・・・・・・・・・・138 ・・・・・・・・・92
2(新)・・言の葉の庭(日本) ・・・・・・・2013/8/14・・・・・・・・・・・・・・・4,086・・・・・・・・・・・・58,762・・・・・・・・・・・・・422・・・・・・・・・・35
3(新)・・幻の光(日本)・・・・・・・・・・・・・・・・・7/07・・・・・・・・・・・・・・・・3,599・・・・・・・・・・・・・6,589 ・・・・・・・・・・・・・・52 ・・・・・・・・・36
4(2)・・私たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/16 ・・・・・・・・・・・・・・・2,658・・・・・・・・・・・・29,530・・・・・・・・・・・・・228 ・・・・・・・・・38
5(1)・・ボーン・トゥ・ビー・ブルー・・・・・・・・6/09 ・・・・・・・・・・・・・・・2,575・・・・・・・・・・・・85,952・・・・・・・・・・・・・695 ・・・・・・・・・18

 今回の新登場は、1・3位「ベン・ハー」については上述しました。
 3位「幻の光」は冒頭にも書きましたが最近韓国で人気の是枝裕和監督作品。韓国題は「환상의 빛(幻想の光)」です。←語感がちょっと違うんだよなー。

東京韓国人学校の<問題になり方>自体に問題がありそうだゾ・・・・

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 上の画像はソウル日本人学校。今年4月1日(金)、空港鉄道デジタルメディアシティ駅から少し離れた韓国映像資料院に行った時、街の地図を見てその数百m北に日本人学校があることに気づき、7、8分ほど歩いて見てきました。
 外に生徒たちの姿は見かけず、校庭に通じる門も閉まっていて、掃除(?)の人たちがいただけでしたが、ずいぶんきれいでリッパな校舎(5階建て)だなあという印象を受けました。
 その時、すでに東京都の韓国人学校の移転先が都政で問題になっていたことは、帰ってきてから知りました。
 
 関連記事にいろいろ目を通してみましたが、あいかわらず威勢ばかりよくて中身がカラッポの記事が多い中で、読むに値する記事はとりあえず2つ。
 その1は、あの「産経新聞」の黒田勝弘産経新聞ソウル駐在支局長の連載コラム[ソウルからヨボセヨ]の3月26日の記事。(→コチラ。)
 「産経新聞」そして黒田記者といえば、韓国メディアではしばしば(それ以上か?)「日本の代表的極右言論(人)」とよばれています。私ヌルボは極右とは思いませんが・・・。(ふつうの右派でしょ。)
 その黒田氏が「日本人学校移転 韓国の世話になった過去も」と題し、1972年創立以来の歴史と「新しい学校用地はソウル市が元の学校の土地と交換する形で提供してくれた。元の地域は地価が高騰していたため、差額で最先端の新校舎も建てられた。最初の土地購入は韓国政府のお世話になっている」といった「世話になった」ことを記し、次のような文で締めくくっています。

 最近、東京の韓国人学校の移転先に都立高校跡地を提供する計画に反対、批判の声が出ているとの記事が本紙に出ていたが、こうした反対はまずい。ソウル日本人学校もお世話になっているのだから、ちゃんと実現してほしい。

 私ヌルボ、左派右派と関係なく、傾聴すべき意見を述べる人もその逆の人もいると思っていますが、黒田氏の記事はもちろん前者。韓国メディアも、韓国に対する豊富な知見に基づいて本音で韓国を批判しているからこそ「極右」と言いつつも耳を傾けるのでしょう。
 まあ、この問題については産経の方針にそぐわないためか紙面ではその後ずっとスルーされてるようですが・・・。

 さて、都有地の韓国人学校への貸し出しに反対する人たちが挙げている理由は次のようなものです。
  ・保育園などの「都民のための施設」を優先すべき。
  ・定員割れしていて必要もないのに、増設を希望している。
  ・韓国人学校だけ優遇されている。
  ・外国人学校の整備は都の長期ビジョンに掲載されていない。都はもともと課題として認識していなかったにも関わらず、韓国人学校の建設が進められている。
  ・学校のために特別支援学校の建設が中止になった。
  ・増設は韓国の高額な接待によって決まった。

 これらの「理由」のそれぞれに対し、具体的根拠を示して反論しているのが読むに値する記事の2つ目。「「韓国人学校は優遇されている」は本当か?――都有地貸し出しをめぐる誤認」と題した、吉田悠子さんという方がシノドスに書いた記事です。(→コチラ)
 たとえば、東京都は過去フランス政府からの強い要請によって、フランス人学校建設のため都立高校の跡地を売却したとのこと。「用地を有償で貸与するのか売却かという点を除けば、今回の韓国人学校をめぐる議論と同じである。しかしこの件でフランス人がヘイトスピーチの対象になっただろうか?」と吉田さんは問いかけています。(長い記事なので、内容はリンク先を直接見てください。)

 今回の都知事選には在特会の桜井会長も立候補していて、(当選したら)韓国人学校への敷地貸与中止は、彼としては当然。ところが自民党系の都知事候補2人(増田&小池氏)とも中止とは言わないまでも白紙化表明ねー。大体この問題一帯にプンプンたちこめているヘイトの臭いを自らすすんで浴びようという感じで、これは都民の皆さんナメられてるような・・・。もっとも、革新系統一候補の鳥越氏もこの問題については「具体的に知りません。それについて明確な答えは持っていないが、(知事の)任にあたることになったら、東京都民に納得いただける策を打ち出したいと思います」とナサケナイ発言。宇都宮健児氏は次のように記者の質問に答えていましたが・・・。
 韓国人学校に都の土地を利用させるのはけしからんという意見について、「韓国人学校だから」という点については、私は問題があると思っております。なぜなら、東京都は今から10年ぐらい前にフランス人学校に用地を貸し与えているんです。フランス人学校はよくて、韓国人学校はけしからんというのは、民族差別ですよ。ヘイトスピーチ対策法ができたばかりでしょ? ただ、そこの土地が韓国人学校に貸与するのに相応しい土地かどうか、片方で保育所とか特別養護老人ホームの建設のための用地が必要なのは間違いないことなので、その土地がそれに相応しいかどうかというのは検討する余地があると考えております。ただ一方的に韓国人学校の貸すのはけしからんという民族差別的な考え方には同意できません。
 ・・・と、少なくともこの問題についてはまともな主張をしていた宇都宮氏でしたが、下りざるをえなくなっちゃったんだよなー・・・。

 アラ、続けて<芥川賞候補作・崔実「ジニのパズル」と2000年の直木賞受賞作・金城一紀「GO」>とか、<最後まで出自を隠し通したやしきたかじん>とかについて書くつもりだったのが、例によって長くなりすぎなのでここまででオシマイにします。

 うーむ、本ブログとしてはめずらしく政治的意見(だろうな?)を鮮明に出しちゃったような・・・。

※公式サイト
  → ソウル日本人学校 ・・・・ほー、小6の修学旅行は雪岳山公園方面か。
  → 東京韓国学校

芥川賞候補・崔実「ジニのパズル」(や、金城一紀「GO」)と、在日の現況とアイデンティティ等々

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 今午後6時半。1時間30分前から芥川賞の選考会議が始まっています。
 この記事も同時進行で作成中です。

 今回の候補作は今村夏子「あひる」・高橋弘希「短冊流し」・崔実「ジニのパズル」・村田沙耶香「コンビニ人間」・山崎ナオコーラ「美しい距離」の5作品。
 この中で私ヌルボが読んだのは崔実(チェ・シル)という在日3世の女性が書いた「ジニのパズル」だけなので、受賞作予想については何も言えません。
 ただ、作者が在日ということと、群像新人賞の選評で「超新人(ドラゴン)の出現!」と!マーク付きで大絶賛の辻原登をはじめ5人が満場一致で受賞作に決まったとのことで、発行の少し後「群像6月号」掲載のこの作品を読んでみました。(候補作中これだけが7月初めに単行本化されてるということは、それだけ話題性があり注目度が高いということか?)
 私ヌルボの感想等は後回しにすることにして、2ちゃんねるの<芥川賞・直木賞 文学賞受賞作予想スレ16>(→コチラ)を見てみると「芥川賞取りそうな順で言うと ナオコーラ>村田沙耶香>崔実 の順かね?」といった感じ。本命とはいえないまでも、有力候補なのだそうです。
 強く推す声もあります。
 「ジニのパズル」に作者の井戸の深さを感じる。又吉に授賞なら崔実は文句なしだろう。作品の完成度よりも作者の才能を第一の物差しにするべき。(村上龍が受賞したように)「ジニのパズル」は翻訳すれば世界に通用する。芥川賞をやりそこねたら、村上春樹や吉本ばななに授賞しそこねたのと同じことになってしまう。」とか。
 また、<芥川賞・直木賞 文学賞受賞作予想スレ15>(→コチラ)の「確かに題材勝ちで、このようなテーマを持ってこられると、今の日本人は太刀打ちできないジニw」というカキコミには、以前ある在日韓国人(朝鮮人?)に友人(日本人)が「在日の人生には物語があってうらやましい」と語ったという内容の記事をよんだことをなんとなく思い出しました。これはかなり前からの芥川賞だけではない日本の近年の純文学のあり方の問題かも。私ヌルボ、きのう宋基淑「光州の五月」という小説をイッキ読みしましたが、こういう社会的なテーマ(光州事件とその後)を扱った純文学は近年の(・・・って、この30~40年?)日本ではホントに少ないからなー・・・。
 そこいくと、なるほど「ジニのパズル」は<社会的な問題>もたしかに含まれてはいます。主人公のジニは在日の女の子で、日本人が通う小学校で差別を受け、中学からは朝鮮学校に通うが・・・、という設定。しかし、差別とか民族学校のことはあくまでも素材。崔実さん自身も「朝日新聞」のインタビュー(→コチラ)で語っているように、差別や暴力への憤りや悲しみが色濃くにじむ物語になったが「何かを社会に訴えるために書いたわけじゃない」とのこと。たしかにそのとおり・・・。むしろ在日としてのアイデンティティ(←ベンリ&安易な言葉)といった内面的な問題に取り組んでいます。その点は同じ在日の高校生を描いた金城一紀「GO」(2000年)とは対照的。「GO」の方は直木賞受賞作だけあって明確なエンタ。主人公杉原はケンカも強いし恋愛もあったりして楽しめます。彼女に在日であることを打ち明けられないといった悩みも描かれていますが・・・。(読書に楽しさを求める方には「ジニ~」よりゼッタイこちらがオススメ。)  翌2001年にさっそく映画化された(窪塚洋介&柴咲コウ主演)のもむべなるかな、です。
 ※「GO」の方は小・中学が民族学校で高校から一般の日本の私学。「GO」も「ジニのパズル」も、主人公の小学校~高校の経歴は作者とおおよそダブっています。(参照→金城一紀ロングインタビュー)

 さて、この「ジニのパズル」の受賞を明らかに望んでいないのが朝鮮学校と朝鮮総聯でしょう。
 「GO」の杉原少年のような痛快な(?)暴力とは全然違うものの、ジニが朝鮮学校でしでかしたことも、もしかしたらそれ以上に「過激」なことです。それは、その学校社会の中での黙契(「約束事」)を打ち破る行為。具体的には、最高尊厳の御真影を毀損し、その虚構に対し抗議すること・・・というと、およそ見当がつきますよね。
 この「事件」の結果学校にはいられなくなってアメリカへ・・・。で、この作品はそのアメリカの場面から始まっています。(∴最初はわかりにくい。)
 ・・・私ヌルボ、ちょっと考えたのは、もしこれが受賞して(しなくても)映画化でもされたら「そのシーン」はどう撮るのか?ということ。
 昔はすごかった(?)朝鮮総聯の威光も今は見る影もないからどう撮ってもOK?
 日本人のアナタ(って、ヌルボも日本人ですが)にお聞きしますが、映画の中で「国民の象徴」の写真が毀損されるシーンはありえますか? 戦前・戦中ならもちろんダメですよね。では現代では? 外国の国王や元首だったら?
 いずれにしろ、この小説について今朝鮮学校の側(&支援者)がコメントすることがあるとしたら、「遺憾な内容を含んでおり、これに関連して学校や生徒たちに対する非難や差別があってはならない」といったあたりでしょうか。
 もっと強気なら(受賞した場合)「このような作品を受賞作とすることに強く抗議する」と言いたいところでしょうが・・・。(弱気なら「これは個人的な作品であり異議を唱えるものないが・・・」。)
 ヌルボは北朝鮮政府や朝鮮総聯については総体的に批判している立場ですが、ヘイトスピーチはもちろん反対。しかしこの作品はヘイトに結びつく要素はないのでは?と思います。
 それよりも、日頃思うのは、在日の現況についてあまりよく知られていないのでは?ということ。
 たとえば、在日の何割くらいが韓国語を話せるか?とか、在日の多くは韓国(朝鮮)・日本にどれだけ愛着を持っているか?とか、在日の何割くらいが「差別を受けている」という認識をもっているか等々。一言で言えば、「一言では言えない」ということなんですけどね。(笑) 韓国・朝鮮人の血を引く人たちにも国籍は朝鮮(←「北朝鮮」ではない)・韓国・日本とさまざまだし、また国籍や民族に自身のアイデンティティを置いている人もいれば「関係ない」と思っている人もいるし・・・。
 したがって、限られた小説や映画に登場している在日韓国・朝鮮人だけで在日全体を判断しないことです。

 この記事の見出しで「在日の現況とアイデンティティ」などと書きましたが、そこまで書くと長くなりすぎるし、「ジニのパズル」とはどんどん離れてしまうので、それらはまた別記事に回すことにし、ここまでで一区切りつけることにします。

 あっこの記事を仕上げる前に<芥川賞に村田沙耶香氏の「コンビニ人間」>というニュースが!
 むむっ、遅れをとってしまったか!
 (まあ朝鮮学校関係者はホッとしてる、かな?)  

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月15日(金)~7月17日(日)]

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 ちょっと確認したいことがいくつかあったので、19日夜シネマート新宿に「暗殺」を観に行きました。(5月に続き2回目。) すると客席数 335のスクリーン1じゃなくて客席数 62のスクリーン2の方! この小さなスクリーンでこの作品とは魅力半減。横浜のシネマ・ジャック&ベティでの上映日は未定ですが客席数は138(or114)。大田区方面等にお住まいならまずソチラを選ぶ方が賢明かと・・・。

 <中央日報>の記事(→コチラ)等によると、7月21日の東京を皮切りに、日本各地で<話題の慰安婦映画>「鬼郷」が上映されるとのこと。しかし東京での上映会場・時間等は不明のまま。SARUさんのツイッターには「「クローズドな開催なので前売券を一般に販売しているものではない」との回答だったそうで、メールまたは電話による事前予約ということのようです」とか「クローズドという言葉が、部外者お断りとまでの意味ではない様子です」とか書かれていますが・・・。
 上映するとしても、それだけ警戒しなければならない状況が予測されるということでしょう。これまでも何度かありましたが、観もしないで上映を妨害することよりも、ちゃんと観た上で事実と異なる箇所を指摘したり、自分たちの主張を述べるのがまっとうな対応だと思いますけどねー。
 ※右画像は、元慰安婦の姜日出(カン・イルチュル)さんが描いた「焼かれる少女たち」という絵。これに触発されてチョ・ジョンレ監督はこの映画を作ったそうです。(この「大量虐殺」がいつどこで行われたのか、それがどう確認されているのか等々はどうなっているのでしょうか?)
   「朝鮮日報」7月15日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) 「デモリション」
  壊してこそ見えるモノ ★★★☆
 「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」
  遊びまくったその頃へ ★★★☆
 「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」
  次からは観たくないが・・・ ★★☆
 「アイ・イン・ザ・スカイ」
  戦闘なき激情的な戦場 ★★★☆
 「僕のサンティアゴ巡礼の道」
  次の休暇、サンティアゴ? ★★★
 「トリック」
  放送の素顔が窺えるが・・・ ★★☆
 「アイ・イン・ザ・スカイ」は、ケニアを舞台に、無人機ドローンを用いてテロリストの隠れ家を襲うといった現代の対テロ戦争のモラルを問うアメリカの軍事スリラー。日本公開は2017年かな? 他の5作品はすべて下の記事中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(7月19日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①(1) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
②(2) オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン  9.33
③(5) ベン・ハー  9.25
④(-) ボーン・アルティメイタム  9.25
⑤(4) 私たち(韓国)  9.23
⑥(6)アバウト・タイム~愛おしい時間について~  9.19
⑦(-) 鬼郷(韓国)  9.19
⑧(7) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.17
⑨(9) オーヴェという男  9.15
⑩(-) サフラジェット  9.10

 ④と⑩の2作品が新登場です。
 ④「ボーン・アルティメイタム」は、マット・デイモン主演で日本でも好評だった2007年のアメリカ映画の再上映。韓国題は「본 얼티메이텀」です。
 ⑩「サフラジェット」は、昨年のロンドン映画祭でオープニング作品として上映されたイギリス映画。洗濯工場の労働者モード(キャリー・マリガン)を中心に1世紀前のイギリスの婦人参政権運動の黎明期を描きます。メリル・ストリープが実在した女性運動家エメリン・パンクハーストを演じています。韓国題は「서프러제트」。日本公開は、そのうち? 確証ナシ。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) トリコロール 青の愛  9.00(1)
②(2) キャロル  8.96(13)
③(4) ふたりのベロニカ  8.75(1)
③(4) ベン・ハー  8.75(1)
⑤(6) ライフ・イズ・ビューティフル  8.34(8)
⑥(-) グランブルー  8.25(4)
⑦(7) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.25(2)
⑧(8) 哭声(韓国)  8.18(17)
⑨(8) 奇跡〈2011年〉(日本)  7.86(7)
⑩(-) 幻の光(日本)  7.84(8)

 「そして父になる」に代わって同じ裕和監督の⑩「幻の光」がランクインする等の入れ替わりはありましたが、本ブログ新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月15日(金)~7月17日(日)] ★★★

         コン・ユ主演の韓国映画「釜山行き」が公式公開日前の<先行上映>で50万人を突破して2位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(4)・・グランド・イリュージョン ・・・・7/13 ・・・・・・・・・1,080,040・・・・・・・・・1,737,711・・・・・・・・・14,373・・・・・・1,200
       見破られたトリック
2(43)・・釜山行き(韓国)・・・・・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・・・559,048 ・・・・・・・・・・561,170・・・・・・・・・・4,881・・・・・・・・431
3(1)・・ファインディング・ドリー・・・・7/06 ・・・・・・・・・・・525,148・・・・・・・・・1,760,508・・・・・・・・・14,365・・・・・・・・969
4(2)・・鳳伊 キム・ソンダル(韓国)・・7/06 ・・・・・・・・・・414,413・・・・・・・・・1,802,713・・・・・・・・・14,378・・・・・・・・811
5(48)・・ロスト・バケーション・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・158,367・・・・・・・・・・・216,400・・・・・・・・・・1,788・・・・・・・・518
6(3)・・グッバイ・シングル(韓国)・・6/29・・・・・・・・・・・・128,806 ・・・・・・・・・2,038,857 ・・・・・・・・16,396・・・・・・・・538
7(174)・・デモリション・・・・・・・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・15,601・・・・・・・・・・・・25,150 ・・・・・・・・・・・207・・・・・・・・196
8(新)・・トリック(韓国) ・・・・・・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・14,274・・・・・・・・・・・・30,497 ・・・・・・・・・・・238・・・・・・・・373
9(新)・・-僕のサンティアゴ巡礼の道・・7/14 ・・・・・・・・11,054・・・・・・・・・・・・14,502 ・・・・・・・・・・・115・・・・・・・・・83
10(5)・・ターザン:REBORN ・・・・・・6/29 ・・・・・・・・・・・・10,075・・・・・・・・・・・854,471・・・・・・・・・・7,168・・・・・・・・121
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は2・5・7・8・9位の5作品です。
 2位「釜山行き」は、韓国のアクション・スリラー映画。正体不明のウイルスが全国に拡散し、韓国全土に緊急災難警報令が宣布されます。ただ唯一安全な都市の釜山に向かうためKTXに大勢の人が乗り込みますが、彼らの間で熾烈な死闘が繰り広げられることに・・・。うーむ、いろいろ探してもこれ以上のディテールはわからんゾ。韓国初のゾンビ映画? コン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソクと、出演陣は人気と実力を備えた顔ぶれ。原題は「부산행」です。
 5位「ロスト・バケーション」は、アメリカのパニック映画。バカンスで秘境の島を訪れ、サーフィンを楽しむ医学生ナンシー(ブレイク・ライヴリー)は、突然の衝撃を受けて脚に怪我を負ってしまいます。彼女は岩場に避難しますが、その周囲を1匹の人食いザメが旋回しています・・・。うーむ、この季節の定番の設定。しかし、あの「ジョーズ」(1975)を凌駕することはどうみても不可能でしょ。韓国題は「언더 워터」。日本公開は7月23日です。
 7位「デモリション」は、妻を亡くした敏腕投資アナリストの苦悩を描いたアメリカ映画です。投資アナリストのデイビス(ジェイク・ギレンホール)は、交通事故で妻を失いますが、その翌日いつもと変わらず出勤した彼を見て、周りの人たちは囁き合います。 何の感情も感じられないように生きていくデイビス。しかし彼はだんだん崩れていきます。 妻を失った日、壊れた病院の自動販売機でお金を失ったデイビスは苦情の手紙を出しますが、そこに誰にも言わなかった自分の胸の内を打ち明けます。ある日午前2時、お客様センターのスタッフのカレン(ナオミ・ワッツ)から電話がかかってきます。「手紙を見て泣きました、話をする人はいますか?」。・・・「何かを直すには、全部分解した後、次に重要なのが何なのかを把握しなければ」。カレンと彼の息子クリスに会ってから出勤もせず街をさ迷ったデイビスは、まるで自分の中を覗き込むように壊れた冷蔵庫やコンピュータ等をバラバラにし始め、ついには妻との思い出が残っている家を分解することに・・・。韓国題は「데몰리션」。日本公開は2017年、かな?
 8位「トリック」は韓国のサスペンス。かつて不良食品の告発を特ダネで報道し、スターPDとして名を上げたソクチン(イ・ジョンジン)でしたが、その後告発内容が誤報だったとの判断を受け、裁判でも無罪判決が出て、PDもやめさせられることになりますた。数年後、教養テレビチャンネルのPDとして復職したソクチンは、新社長から秘密の提案を受けます。それは、創立記念特集として6ヵ月の余命宣告を受けたトジュン(キム・テフン)とヨンエ(カン・イェウォン)夫婦の病床日記のドキュメンタリーを撮影し、高い視聴率がとれたら局長に昇進させるというもの。そのドキュメンタリーは視聴者の涙を誘い、爆発的な人気を得て高視聴率を記録します。しかしトジュンの病状はさらに悪化し、撮影中断の危機に立たされますが、ソクチンは視聴率のためにトジュンの死に際を撮影すると決心し、ヨンエに悪魔のような提案を行います・・・。原題は「트릭」です。
 9位「僕のサンティアゴ巡礼の道」(仮)は、ドイツのコメディ。(実在の)コメディアンのハーペイ・カーケリングさんは2001年37歳の夏、病気などをきっかけに自分の人生を見つめなおそうと、スペインのサンティアゴ巡礼道800kmを歩き通そうと企てます。いろんな出会いがあり居酒屋での大騒ぎ等もありのその42日間の旅日記はベストセラーになり、翻訳書「巡礼コメディ旅日記」(みすず書房)も刊行されました。そして映画化作品がこの作品というわけです。韓国題は「나의 산티아고」。日本公開は未定のようです。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(64)・・デモリション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・・・・・15,601・・・・・・・・・・・・25,150・・・・・・・・・・・・・207 ・・・・・・・・196
2(22)・・THE WAVE/ザ・ウェイブ ・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・・・・6,899・・・・・・・・・・・・12,526・・・・・・・・・・・・・・99・・・・・・・・・140
3(1)・・ベン・ハー ・・・・・・・・・・・・・・・・1972/9/07 ・・・・・・・・・・・・・・・4,350・・・・・・・・・・・・37,486・・・・・・・・・・・・・220 ・・・・・・・・・58
4(22)・・バグダッド・カフェ・・・・・・・・・・・・・・7/14・・・・・・・・・・・・・・・・4,313・・・・・・・・・・・・・6,500 ・・・・・・・・・・・・・・49 ・・・・・・・・・59
       (ディレクターズ・カット)
5(39)・・エブリバディ・ウォンツ・サム!!・・7/14・・・・・・・・・・・・・・2,373・・・・・・・・・・・・・4,031 ・・・・・・・・・・・・・・33 ・・・・・・・・・61
       世界はボクらの手の中に

 今回は3位以外すべて入れ替わりました。
 1位「デモリション」については上述しました。
 2位「THE WAVE/ザ・ウェイブ」は、フィヨルド地帯を舞台に、岩山崩落による巨大津波の恐怖と家族のドラマを描いたノルウェー映画ですが、すでに6月日本で公開されています。韓国題は「더 웨이브」です。
 4位「バグダッド・カフェ(ディレクターズ・カット)」は、もちろん1987年の名作。韓国題は「바그다드 카페 : 디렉터스컷」です。
 5位「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」は、1980年代のアメリカの大学を舞台に、野球部の新入生たちの青春を描いたコメディ。高校を卒業して、大学野球部の宿舎に引っ越してきたイケメン新入生ジェイク(ブレイク・ジェンナー)。全国最高レベルの野球チームのルームメイトたちに交じり、ぎこちなさを感じる暇もなく気持ちが向かう先はむちむちギャルたちの方に・・・。コーチは酒&女の宿舎持ち込み( ?)禁止を命ずるのですが有名無実化? 口にはいつもビール、女性の話98%野球の話2%のおしゃべりと、毎晩楽しいパーティーを繰り広げるのですが・・・。韓国題は「에브리바디 원츠 썸!!」。「サム」は名前ではなく「some」。いい訳し方があるのでは? 日本公開は9月です。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月22日(金)~7月24日(日)]

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 先週書いた<話題の慰安婦映画>「鬼郷」の続報。「朝鮮日報」(日本語版)の記事(→コチラ)によると、21日の午後どこかのホテルで上映され、「この日設けられた400席は在日韓国人や日本人たちで埋め尽くされた」そうです。上映館を見つけるが難しかったので「共同体上映会」という形をとったとのこと。そういうわけで、観てみたいと思っていた私ヌルボは共同体の外の人間だったため観られず。どこのホテルだったのかもわかりません。東京を含め日本全国13都市を巡回して上映会を開く予定だそうですが、近場ならなんとか情報を仕入れて行きたいものです。(決まったらぜひメールでお知らせを。(→左の<メッセージ>)

 21日に文化村のル・シネマに行きました。実に久しぶり! 少なくともこの6年間は行ってません。それにしても品の良い映画館で、私ヌルボもハイソのキョーヨー人になったような気分。もちろん錯覚以外の何物でもありませんが。で、観た映画がクシシュトフ・キェシロフスキ(←早口でなくてもとちるゾ)監督の「ふたりのベロニカ」(実は初見)。やっぱりこの映画館らしいカクチョー高い作品なのでヌルボごときがコメントできるものでもありません(笑)が、イレーヌ・ジャコブは魅力的! カンヌ映画祭で主演女優賞というのもうなづけます。同じタイプの女優、誰かいるかな?
   「朝鮮日報」7月22日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) 「釜山行き」
   ゾンビより怖いのは? 人! ★★★☆


 「教授のおかしな妄想殺人」
   幻想が愛を可能にする ★★★

 「アイスエイジ5:地球大衝突」
   なかなか良いが今イチ ★★☆


 「魔神仔(モシナ)-赤い服の少女の呪い」
   恐怖、君と僕の間にある ★★☆

 「教授のおかしな妄想殺人」は、ウディ・アレン監督のコメディで日本ではすでに6月公開されています。他の3作品はすべて下の記事中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(7月26日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①(1) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
②(2) オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン  9.33
③(3) ベン・ハー  9.25
④(5) 私たち(韓国)  9.20
⑤(8) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.17
⑥(-) キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン  9.16
⑦(9) オーヴェという男  9.14
⑧(10) サフラジェット  9.05
⑨(-) バグダッド・カフェ(ディレクターズ・カット)  9.03
⑩(-) 太陽の下  9.02

 ⑥「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」だけが新登場。オナルド・ディカプリオ主演の2002年のアメリカ映画の再上映です。韓国題は「캐치 미 이프 유 캔」。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) トリコロール 青の愛  9.00(1)
②(2) キャロル  8.96(13)
③(3) ふたりのベロニカ  8.75(1)
③(3) ベン・ハー  8.75(1)
⑤(5) ライフ・イズ・ビューティフル  8.34(8)
⑥(7) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.25(2)
⑦(8) 哭声(韓国)  8.18(17)
⑧(9) 奇跡〈2011年〉(日本)  7.86(7)
⑨(10) 幻の光(日本)  7.84(8)
⑩(-) そして父になる(日本)  7.82

 今回新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月22日(金)~7月24日(日)] ★★★

         「釜山行き」が記録的動員数でトップに
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・釜山行き(韓国)・・・・・・・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・3,213,824・・・・・・・・・5,315,025・・・・・・・・・43,826・・・・・・1,785
2(1)・・グランド・イリュージョン ・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・456,512・・・・・・・・・2,717,033・・・・・・・・・22,179・・・・・・・・648
       見破られたトリック
3(64)・・アイスエイジ5:地球大衝突・・7/13 ・・・・・・・・206,252・・・・・・・・・・・242,706・・・・・・・・・・1,886・・・・・・・・579
4(3)・・ファインディング・ドリー・・・・7/06 ・・・・・・・・・・・163,644・・・・・・・・・2,031,988・・・・・・・・・16,459・・・・・・・・458
5(54)・・劇場版妖怪ウォッチ ・・・・・7/20 ・・・・・・・・・・・119,320 ・・・・・・・・・・138,396・・・・・・・・・・1,064・・・・・・・・402
       エンマ大王と5つの物語だニャン!(日本)
6(4)・・鳳伊 キム・ソンダル(韓国)・・7/06 ・・・・・・・・・・・70,028・・・・・・・・・2,005,966・・・・・・・・・15,907・・・・・・・・399
7(5)・・ロスト・バケーション・・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・48,916・・・・・・・・・・・345,716・・・・・・・・・・2,815・・・・・・・・268
8(新)・・富川国際ファンタスティック映画祭・・7/21・・・16,500・・・・・・・・・・・・21,500 ・・・・・・・・・・・129・・・・・・・・・・4
       ファンタスティック短編傑作選1
9(9)・・-僕のサンティアゴ巡礼の道・・7/14 ・・・・・・・・・10,673・・・・・・・・・・・・36,328 ・・・・・・・・・・・285・・・・・・・・・52
10(6)・・グッバイ・シングル(韓国)・・・6/29・・・・・・・・・・・・8,446 ・・・・・・・・・2,103,639 ・・・・・・・・16,879・・・・・・・・129
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「釜山行き」、現時点でもう500万人突破とは何なんだ!? オドロキモモノキです。
 今回の新登場は3・5・8位の3作品。
 3位「アイスエイジ5:地球大衝突」(仮)は、アメリカの人気アニメ「アイス・エイジ」シリーズの5作目。地球上に落下する隕石群から逃れるために奮闘するマンモスのマニーとノスロテリウムのシド、スミロドンのディエゴの3頭の冒険を描く・・・って、隕石群というから恐竜が絶滅した中生代の終わり、つまり2億6千万年前?と一瞬思っちゃいましたが、マンモスが主人公だから更新世すなわち1万年前までのことですよね。その頃そんなすごい隕石群が降ってきたのかな・・・。韓国題は「아이스 에이지: 지구 대충돌」。日本公開は未定のようです。
 5位「劇場版 妖怪ウォッチ:エンマ大王と5つの物語だニャン!」は、日本では昨年12月公開。ほとんど知識のないヌルボ、ストーリーを見てみても全然わからないのだニャン! 韓国題は「극장판 요괴워치: 염라대왕과 5개의 이야기다냥!」です。
 8位「富川国際ファンタスティック映画祭2016 ファンタスティック短編傑作選1」は、7月21日から開催されている今回が第20回目の映画祭中のプログラム。この映画祭にはチャン・グンソクの監督作品が上映されたり、KARAのギュリが開幕式に登場したりといった話題も報じられています。(→コチラ。) 韓国映画オタクのSARUさんは直接観に行ってグンちゃんの写真も撮ってますよ。(→コチラ。)

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・デモリション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・・・・・・7,712・・・・・・・・・・・・43,806 ・・・・・・・・・・・・・358 ・・・・・・・・・39
2(31)・・魔神仔(モシナ)-赤い服の少女の呪い・・7/21 ・・・・・・・・4,785・・・・・・・・・・・・・7,212 ・・・・・・・・・・・・・・59 ・・・・・・・・121
3(4)・・バグダッド・カフェ・・・・・・・・・・・・・・・7/14・・・・・・・・・・・・・・・・2,362・・・・・・・・・・・・12,715 ・・・・・・・・・・・・・・94 ・・・・・・・・・30
       (ディレクターズ・カット)
4(6)・・幻の光(日本)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・・・・1,399・・・・・・・・・・・・14,584・・・・・・・・・・・・・116・・・・・・・・・・21
5(3)・・ベン・ハー ・・・・・・・・・・・・・・・・1972/9/07 ・・・・・・・・・・・・・・・1,098・・・・・・・・・・・・40,490・・・・・・・・・・・・・248 ・・・・・・・・・11

 2位「魔神仔(モシナ)-赤い服の少女の呪い」(仮)だけが今回の新登場です。台湾のホラー映画で、魔神仔(モシナ)とは伝説に登場する妖怪。赤い目に赤い肌で、赤い服を着た子供のような姿をしているとか。山中で人をさらったり、沼に引きずり込んだりして、日本の河童にも相通じるところがあるとのこと。物語の主人公は台北の不動産業で働く青年(ホアン・ハー)。祖母がある日突然行方不明になってから彼の身の回りで不思議な現象が起こり、そこには赤い服の少女がいるのです。DJの恋人(アン・シュー)も番組で情報提供を呼びかけますが、今度は青年もいなくなってしまいます。彼女は捜索隊とともに山に向かいますが・・・。韓国題は「마신자 - 빨간 옷 소녀의 저주」で、それを仮題としました。日本公開は未定。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月29日(金)~7月31日(日)]

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 7月27日に観た「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は、とても良かった! 個人的には今年のベスト5位以内確実。1947年<ブラックリスト>に名前が載せられて以降他の脚本家の名前で脚本を書いていたトランボが公式に実名で業界に復帰したのが「スパルタカス」と「栄光への脱出」だったのか。私ヌルボが初めて彼の名を知ったのは「ジョニーは戦場に行った」(1971)の公開に合わせて刊行された角川文庫を買って読んだ時、というと40年以上も前か、うーむ・・・。

 その翌日は「ヒメアノ~ル」は、<映画生活>等でけっこう高評価のようなので観てみました。が、たとえば「チェイサー」のような韓国の連続殺人モノと比べると凄みが全然感じられず。逆説的ですが、むしろその点がプキミで怖いような・・・。前半のヘンに滑稽な片想いの話も、他の観客の笑うツボがよくわからず。原作漫画はチラッと見ただけですが、やっぱりブキミな絵柄。もしかして<近頃の若いモン>との間の感性のギャップ?

 週末のぴあ映画初日満足度ランキングを見ると、韓国映画「あなた、その川を渡らないで」と「ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~」が1・2位。10年ほど前と違ってこの頃は韓国での大ヒット作もあまり宣伝しないし話題にもならないうちに終わってしまうのが残念。ぜひ多くの人に観てもらいたいものです。横浜でもシネマ・ジャック&ベティと横浜シネマリンで上映中。

 新宿シネマカリテで7月16日から上映中(~8/16)の<カリコレ2016>でいろいろおもしろそうな映画をやってるのですが、上映回数が限定されているのがなんとも残念。台湾映画「私の少女時代 ―Our Times―」は観られなかったし、韓国では1100万人を越えたヒット作「弁護人」も8月6日の1度だけとは、ちょっと行けそうにないかな? 「京城学校:消えた少女たち」は4日・10日・13日の3回か。どういう組み方してるんだろう?(スケジュールは→コチラ。)
   「朝鮮日報」7月29日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) 「海よりもまだ深く」
   喪失と失敗、共に大丈夫 ★★★☆


 「ジェイソン・ボーン」
   身体を少し使ったかな ? ★★★


 「ノーマ、世界を変える料理」
   誰もがやるものに非ず ! ★★★


 「仁川上陸作戦」
   意図と結果がズレてる ★★☆


 「ビッグ」
   親と観るにはちょっと ★★☆

 「ノーマ、世界を変える料理」は、日本ではすでに4月から公開。他の4作品はすべて下の記事中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(8月2日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①(-) ショーシャンクの空に  9.39
②(-) レオン  9.38
③(1) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
④(4) 私たち(韓国)  9.23
⑤(3) ベン・ハー  9.23
⑥(-) サイコ  9.19
⑦(7) オーヴェという男  9.17
⑧(5) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.15
⑨(10) 太陽の下  9.04
⑩(9) バグダッド・カフェ(ディレクターズ・カット)  9.04

 今回も過半が旧作の再上映。新作のみのランキングにしてほしいな。って、韓国ではそれだけ昔の名作がよく上映されているということか?

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) トリコロール 青の愛  9.00(1)
②(2) キャロル  8.96(13)
③(-) ピアニスト  8.75(1)
④(3) ふたりのベロニカ  8.75(1)
④(3) ベン・ハー  8.75(1)
⑥(-) ショーシャンクの空に  8.50(1)
⑦(5) ライフ・イズ・ビューティフル  8.34(8)
⑧(6) グランブルー  8.25(4)
⑨(7) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.25(2)
⑩(10) 幻の光(日本)  7.84(8)

 今回新登場の作品はありません。②以外は過去の作品ばかり。このランキングについても再考しなければ。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月29日(金)~7月31日(日)] ★★★

         「釜山行き」を抑えて「仁川上陸作戦」が1位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(18)・・仁川上陸作戦(韓国) ・・・・・7/27 ・・・・・・・・・1,794,116・・・・・・・・・2,625,585・・・・・・・・・20,609・・・・・・1,048
2(1)・・釜山行き(韓国) ・・・・・・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・1,453,635・・・・・・・・・8,409,447・・・・・・・・・68,135・・・・・・1,020
3(新)・・ジェイソン・ボーン・・・・・・・・7/27 ・・・・・・・・・1,017,744・・・・・・・・・1,543,250・・・・・・・・・12,694・・・・・・・・826
4(3)・・ファインディング・ドリー・・・・7/06 ・・・・・・・・・・・172,903・・・・・・・・・2,362,733・・・・・・・・・18,965・・・・・・・・422
5(2)・・グランド・イリュージョン・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・104,270・・・・・・・・・3,032,478・・・・・・・・・24,598・・・・・・・・298
       見破られたトリック
6(3)・・アイスエイジ5:地球大衝突・・7/20 ・・・・・・・・・・98,742・・・・・・・・・・・464,757・・・・・・・・・・3,483・・・・・・・・353
7(50)・・-ビッグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・7/27 ・・・・・・・・・・・・67,265・・・・・・・・・・・115,088 ・・・・・・・・・・・858・・・・・・・・321
8(5)・・劇場版妖怪ウォッチ ・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・・・・61,130 ・・・・・・・・・・265,066・・・・・・・・・・2,001・・・・・・・・234
       エンマ大王と5つの物語だニャン!(日本)
9(34)・・海よりもままだ深く(日本)・・7/27 ・・・・・・・・・・・16,936・・・・・・・・・・・・22,925 ・・・・・・・・・・・192・・・・・・・・・71
10(9)・・-僕のサンティアゴ巡礼の道・・7/14 ・・・・・・・・・9,237・・・・・・・・・・・・55,419 ・・・・・・・・・・・428・・・・・・・・・42
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「釜山行き」は早くも800万人突破。そのあおりが多いだろうと思われた「仁川上陸作戦」が週末ランキングでは首位に。3位「ジェイソン・ボーン」まで含めて上位3作が100万人越えというのは過去なかったのでは?
 今回の新登場は1・3・7・9位の4作品です。
 1位「仁川上陸作戦」は、1950年6月25日北朝鮮の突然の南侵で始まった朝鮮戦争の戦局を一変させた仁川上陸作戦を、その計画段階から描いたドラマ。開戦後1ヵ月で釜山方面を除くほぼ全域を奪われた韓国。そんな中で国連軍最高司令官マッカーサー(リーアム・ニーソン)は、自身が「成功率0.02%%」というほどの至難な作戦を周囲の反対を押し切って推進します。彼の指示で対北朝鮮諜報作戦<X-RAY>に投入された海軍諜報部隊大尉チャン・ハクス(イ・ジョンジェ)は、北朝鮮軍に偽装し仁川に入って情報を収集し始めます。しかし北朝鮮軍の仁川防御司令官リム・ギェジン(イ・ボムス)によって正体がばれそうになる危機の中で、チャン・ハクスとその部隊員たちは仁川上陸艦隊を誘導する危険な任務に出るのですが・・・。原題は「인천상륙작전」。
 3位「ジェイソン・ボーン」は、マット・デイモン主演のアクションシリーズの新作。第3作「ボーン・アルティメイタム」では、記憶を失くし、愛する者を奪われたジェイソン・ボーンが最終的に全ての記憶を取り戻したところで映画は終了します。本作では、その彼が「自分を取り戻した。失った記憶は全部取り戻した」と語るところから始まります。そして彼は取り戻した記憶の他に、 過去をめぐるもうひとつの陰謀があることを知り、ついにCIAの前に自分の姿を現わします・・・。韓国題は「제이슨 본」。日本公開は10月7日です。
 7位「北のノーム」は、アメリカの3Dアニメ。主人公はホッキョクグマのノーム。仲間の3匹のレミングとニューヨークにやって来た目的は、北極への人間の移住を阻止するため。ところがノームたちは北極にコンドミニアム建設をもくろむ会社のマスコットになり、人気者になってしまいます・・・。原題は「Norm of the North」で韓国題は「빅(ビッグ)」。日本公開は未定です。
 9位「海よりもままだ深く」は、今韓国ではちょっとしたブームの是枝裕和監督の最新作。私ヌルボも観ようと思いつつ未見のまま。東京での上映館は下高井戸シネマだけか。韓国題は「태풍이 지나가고(台風が過ぎて)」なので何かと思いましたよ。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(17)・・ビッグ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/27・・・・・・・・・・・・・・・67,265・・・・・・・・・・・115,088 ・・・・・・・・・・・・・858 ・・・・・・・・321
2(15)・・海よりもままだ深く(日本) ・・・・・・7/27 ・・・・・・・・・・・・・・16,936・・・・・・・・・・・・22,925 ・・・・・・・・・・・・・192 ・・・・・・・・・71
3(1)・・デモリション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・・・・4,889・・・・・・・・・・・・・54,169・・・・・・・・・・・・・442 ・・・・・・・・・33
4(新)・・好きだよ、マギー・・・・・・・・・・・・・・7/27・・・・・・・・・・・・・・・・2,397・・・・・・・・・・・・・・7,635・・・・・・・・・・・・・・57 ・・・・・・・・・58
5(58)・・ライフ・イズ・ビューティフル・・1999/3/06・・・・・・・・・・・・・1,906 ・・・・・・・・・・・126,342・・・・・・・・・・・・・841・・・・・・・・・・・1

 1・2・4位の3作品が今回の新登場。
 1位「ビッグ」と2位「海よりもままだ深く」については上述しました。
 4位「好きだよ、マギー」(仮)は、2013年のメキシコで大ヒットしたコメディ。アカプルコに住む遊び人のバレンティン(エウゲニオ・デルベス=監督・主演)が海辺の部屋で寝ていると、赤ちゃんを連れた女がやって来て、「アナタの子供よ」とその子を手渡し、そのままいなくなってしまいます。彼はその女を探しにメキシコからロサンゼルスへ向かうものの結局見つからず、赤ちゃんの世話をすることに。そして6年が過ぎ、彼はハリウッドでスタントマンとして働き、その女の子マギー(ジェシカ・リンジー)は小学校に通うようになります。しかし、ある日マギーの母親が訪ねてきます・・・。韓国題は「사랑해, 매기」。日本公開は未定です。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [8月5日(金)~8月7日(日)]

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 先々週の「ヒメアノ~ル」以来、私ヌルボがけっこう参考にしている<ぴあ映画生活>での評価とのズレが続いています。
 「ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~」は、カキコミの多くは「感動的」と書かれています。また「韓国人らしいメンタリティ云々」もまさにその通り。ただ私ヌルボが今ひとつ乗りきれなかったのはほぼ予測範囲内の展開だったためかも。しかしいろんな知識は得られました。なお説明はありませんでしたが、訓練場所の岩山は山の雑誌「岳人」の<韓国の山特集>についての記事(→コチラ)でも紹介したソウルの北漢山等。はるか下方に街並みが見えます。北漢山の山小屋・白雲山荘もチラッと映ってました。

 阪本順治監督の「団地」も平均評点80点で、実際観客席のあちらこちらで笑い声も上がったりしてたんですけどねー、私ヌルボは笑えず。ストーリー展開も首を傾げる点がいくつかあったりして・・・。なお同じ時間帯にシネマ・ベティで上映していた「あなた、その川を渡らないで」は開映5分前くらいで満席に。その直後に来られた横須賀の方、ホントに残念でした。

 先週ちょっと書いたシネマカリテで6日の1度だけ上映の「弁護人」はやっぱり行けず。あーあ。
 今後の韓国関係映画では8月20日公開(@ポレポレ東中野)の「海峡を越えた野球少年」は観に行く予定。1956~97年韓国で開催された全国鳳凰大旗学生野球大会に招かれた在日韓国人の選手たちのドキュメンタリーです。

 今韓国では、先日観客動員1000万人を超えた「釜山行き」に続き「仁川上陸作戦」、「徳恵翁主(トッケオンジュ)」と話題の大作が次々に公開されています。コン・ユ主演の「釜山行き」はソウル→釜山のKTXを舞台にしたゾンビ物で、季節は全然違いますが「スノーピアサー」を思い起こさせます。「仁川上陸作戦」はもちろん朝鮮戦争で戦局を大きく転換させた仁川上陸作戦を、その計画段階から描いたドラマ。周囲の反対を押し切って作戦を推進した国連軍最高司令官マッカーサー(リーアム・ニーソン)の指示で対北朝鮮諜報作戦<X-RAY>に投入された海軍諜報部隊大尉チャン・ハクス(イ・ジョンジェ)が活躍します。なお、<NAVER映画>ではこの作品に対するネチズンの平均評点が8.11なのに記者・評論家のそれはわずか3.41。→コチラの過去記事で書いたように、この数字を見るとまさに<保守系>色の濃厚な作品といえるでしょう。代表的保守紙の「朝鮮日報」が推奨している(→コチラ)のもむべなるかな、です。
さて、上記の韓国映画1~3弾に続き今週(8月10日)にはハ・ジョンウ主演の「トンネル」も始まります。これもおもしろそう。(→コチラ参照。)

 徳恵翁主(トッケオンジュ)という人物は、高宗と側室・梁氏との間に生まれ、1930年旧対馬藩主・宗家の当主である宗武志伯爵の夫人となった王女で、映画ではソン・イェジンが扮しています。→ウィキペディアにあるように李王家とはいっても韓国併合後(1912年)に生まれたため悲運の人生を辿ることを余儀なくされた女性で、同情はされても映画の主人公とするにはいかがなものかと思いますが、ここにキム・ジャンハン(パク・ヘイル)という架空の人物を配したのが本作のミソ。徳恵翁主の幼友達で、成人後高宗の息子の英親王李垠の副官となりますが「実は日本軍人を偽装した独立運動家」( !)で、彼等を臨時政府のある上海に亡命させようと・・・、という設定になっているようです。昨年のヒット作「暗殺」同様史実とフィクションが接ぎ木された作品ですが、<独立運動>や<上海臨時政府>はこの時代を描いた作品の「お約束」になっているような感じですが、観客はどこまでわかって観るかはかなり疑問が・・・。やはり1987年の憲法改正で初めて「大韓民国臨時政府の法統を継承する」と規定されて以来(上海の)臨時政府のイメージは膨らみ続けて今に至ったように思えます。
 ※参考:「仁川上陸作戦」以外の<NAVER映画>でのネチズンと記者・評論家の平均評点
   「釜山行き」=8.04 7.10     「徳恵翁主」=8.68 5.49
   なお、是枝裕和監督の最新作「海よりもまだ深く」=8.58 7.07
   韓国で今上映中で私ヌルボが観てもたい「少女たち」=9.24 7.66

 「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は先週掲載されませんでした。

     【ネチズンによる順位】

①(2) レオン  9.38
②(3) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
③(-) アマデウス  9.34
④(-)オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン  9.33
⑤(5) 私たち(韓国)  9.26
⑥(6) ベン・ハー  9.22
⑦(6) サイコ  9.19
⑧(-)名探偵コナン 純黒の悪夢 (ナイトメア)(日本)  9.16
⑨(7) オーヴェという男  9.15
⑩(8) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.14

 新登場は⑧「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)です。<ぴあ映画生活>の評点もけつこう高いし、1度どんなものかレンタル店で借りて観てみるかな。韓国題は「명탐정 코난: 순흑의 악몽」です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-) アマデウス  9.25(1)
②(1) トリコロール 青の愛  9.00(1)
③(2) キャロル  8.96(13)
④(3) ピアニスト  8.75(1)
⑤(4) ベン・ハー  8.75(1)
⑥(7) ライフ・イズ・ビューティフル  8.34(8)
⑦(9) ビフォア・サンライズ 恋人までの距離〈ディスタンス〉  8.25(2)
⑧(-) 歩いても歩いても(日本)  8.17(12)
⑨(10) 幻の光(日本)  7.84(8)
⑩(-)シュガーマン 奇跡に愛された男  7.83(6)

 あいかわらず。今年2月公開の③「キャロル」以外は過去の作品ばかり。次週からは新作限定にしようと思います。
 一応新登場は⑧「歩いても歩いても」の1作品。是枝裕和監督のブームが続いています。韓国題は「걸어도 걸어」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月5日(金)~8月7日(日)] ★★★

         今夏韓国映画の大作第3弾「徳恵翁主」がトップに
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(14)・・徳恵翁主(韓国)・・・・・・・・・8/03 ・・・・・・・・・1,170,391・・・・・・・・・1,706,491・・・・・・・・・13,787・・・・・・・・964
2(1)・・仁川上陸作戦(韓国) ・・・・・7/27 ・・・・・・・・・1,078,499・・・・・・・・・5,245,392・・・・・・・・・41,077・・・・・・・・831
3(新)・・スーサイド・スクワッド・・・・8/03・・・・・・・・・・・761,978・・・・・・・・・1,416,971・・・・・・・・・11,981・・・・・・・・817
4(17)・・ペット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/03・・・・・・・・・・・639,635・・・・・・・・・・・986,752・・・・・・・・・・7,642・・・・・・・・726
5(2)・・釜山行き(韓国)・・・・・・・・・・・7/20・・・・・・・・・・・622,828・・・・・・・・10,042,303・・・・・・・・・81,062・・・・・・・・636
6(3)・・ジェイソン・ボーン・・・・・・・・・7/27・・・・・・・・・・・270,329・・・・・・・・・2,360,920・・・・・・・・・19,231・・・・・・・・477
7(新)・・-名探偵コナン・・・・・・・・・・・8/03・・・・・・・・・・・190,370 ・・・・・・・・・・336,466・・・・・・・・・・2,494・・・・・・・・442
       純黒の悪夢(ナイトメア)(日本)
8(4)・・ファインディング・ドリー・・・・7/06 ・・・・・・・・・・・・46,240・・・・・・・・・2,564,890・・・・・・・・・20,438・・・・・・・・179
9(9)・・海よりもままだ深く(日本)・・・7/27 ・・・・・・・・・・・13,179・・・・・・・・・・・・51,411 ・・・・・・・・・・・425・・・・・・・・・49
10(6)・・アイスエイジ5:地球大衝突・・7/20 ・・・・・・・・・10,189・・・・・・・・・・・547,398・・・・・・・・・・4,049・・・・・・・・・83
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「釜山行き」が1000万人を超え、「検事外伝」の970万人を抜いて今年の興行成績1位になりました。先週トップの「仁川上陸作戦」のトップは1週だけで終わり、今度は今夏の韓国映画の期待作第3弾「徳恵翁主」がとってかわりました。しかし後にすぐハ・ジョンウとペ・ドゥナ共演「トンネル」という第4弾が8月10日公開されるので、たぶん来週はすぐ交代ということになりそうです。
 今回の新登場は1・3・4・7位の4作品です。
 1位「徳恵翁主(トッケオンジュ)」は、記事冒頭に記したように、高宗と側室・梁氏との間に生まれた王女の人生に、フィクションを交えた歴史物。原題は「덕혜옹주」です。
 3位「スーサイド・スクワッド」は、アメリカのアクション大作。死刑や終身刑を言い渡された極悪人たちが、減刑と引き替えに政府の危険な任務を遂行にあたります。韓国題は「수어사이드 스쿼드」。日本公開は9月10日です。
 4位「ペット」は、アメリカの3Dアニメ。日本公開も8月11日で、すでに諸情報が流されているので説明は略します。韓国題は「마이펫의 이중생활」です。
 7位「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」については上述しました。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・海よりもままだ深く(日本) ・・・・・・・7/27 ・・・・・・・・・・・・・・13,179・・・・・・・・・・・・51,411 ・・・・・・・・・・・・・425 ・・・・・・・・・49
2(35)・・歩いても歩いても(日本)・・2009/6/18 ・・・・・・・・・・・・・・・2,255・・・・・・・・・・・・21,374 ・・・・・・・・・・・・・155 ・・・・・・・・・15
3(3)・・デモリション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・・・・2,184 ・・・・・・・・・・・・60,461・・・・・・・・・・・・・493 ・・・・・・・・・18
4(1)・・ビッグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/27 ・・・・・・・・・・・・・・・1,995・・・・・・・・・・・157,516 ・・・・・・・・・・・1,153 ・・・・・・・・・21
5(新)・・ショーシャンクの空に ・・・・1999/3/06 ・・・・・・・・・・・・・・・1,986・・・・・・・・・・・・11,188 ・・・・・・・・・・・・・・72・・・・・・・・・・・1

 2位「歩いても歩いても」が新登場。上述の通りです。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [8月12日(金)~8月14日(日)]

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 いやー、マイッタマイッタ。最近1ヵ月、この韓国映画興行成績以外の記事をアップしていない理由の半分くらいは長く愛用してきたパソコンの不具合。バッテリーの急激な劣化等のため突然電源が切れたり、反応が遅くなったり・・・。昨日は一度シャットダウンしたところ、更新プログラム6個をインストールするので「電源を切らないでください」とのメッセージ。5個分だけでも約4時間かかった上、6個目はその後さらに10時間(!)くらいかかっても終わらず、結局指示に逆らって強制終了させてしまいました。というわけで予定より1日と数時間遅れになってしまいました。1週間以内には何とかしなければ・・・。

 先週観た「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」は期待通り。1970年前後だったか、日本でも彼の名が取り沙汰され始めた頃、私ヌルボもたまたまクラシックギターにかなり熱中していたこともあって、「フラメンコギターになんだかすごい演奏家が現れたゾ」と目を瞠ったものでした。すでに幕を閉じた彼の音楽人生のもろもろと、何よりもその超絶技巧の早弾きだけではない演奏の魅力だけで十分鑑賞に値するドキュメンタリーでした。

 13日夜は久しぶりにコリアキネマ倶楽部。今回から2017年12月までは全17回ずっと北朝鮮映画です。でその初回は1975年制作のコメディ「遊園地の一日」と、1987年朝鮮総連映画製作所制作の「平壌の素顔」。後者は文字通り平壌市内の名所案内に工場のようすや春の野遊び風景等々市民生活の一端を撮ったもの。しかし平壌自体がショーウィンドー都市だし、はたしてホントに<素顔>と言えるかはなはだ疑問ではありますが・・・。今後のスケジュール等については<コリアキネマ倶楽部>のサイト(→コチラ)参照。
   「朝鮮日報」8月12日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)  「トンネル」
   生き抜くぞという意志 ★★★☆


 「国家代表 2」
   どこかで見た物を調合 ★★☆


 「マイルス」
   彼の音楽と主役の演技! ★★★☆

 「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」
   この監督にしては退屈 ★★★


 「リオ2096」
   五輪だけではないのだ! ★★★

 「リオ2096」は、2013年のブラジルのSFアニメ。16世紀半ばのポルトガル人の南米侵攻で愛する妻ジャナイーナを殺されてしまった先住民族の戦士は、鳥に姿を変えて時を超えてジャナイーナを追い求め、600年転生を繰り返しながら戦い続けます。そして水をめぐる戦争が起きた後の2096年リオ・デ・ジャネイロへとたどり着きます・・・。日本では2013年のラテンビート映画祭で上映されました。他の4作品は以下の記事の中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(8月16日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①(1) レオン  9.38
②(2) ライフ・イズ・ビューティフル  9.38
③(-) サウンド・オブ・ミュージック  9.35
④(4)オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン  9.33
⑤(-) 言えない秘密  9.27
⑥(5) 私たち(韓国)  9.25
⑦(6) ベン・ハー  9.23
⑧(-) 風と共に去りぬ  9.23
⑨(-) ラスト・エンペラー  9.21
⑩(10) サイコ  9.18

 4作品が入れ替わりました。といってもすべて旧作の再上映。これで新作は「私たち」だけになってしまいました。このランキングもやっぱり旧作抜きにするかなー・・・。さてこの韓国映画「私たち」については今年11月の<東京フィルメックス>で上映されることがすでに決まっています。→コチラの中央日報」の記事参照。同じく「中央日報」のコチラの記事では「自信を持って言うが、子供の話だといって素通りしてしまうと今年上半期の韓国映画の輝く成就を見逃すことになる」と絶賛しつつ内容を紹介しています。韓流人気スターの出演作以外は日本公開作品が少ない中、3ヵ月先のこととはいえ要チェックです。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(3) キャロル  8.96(13)
②(-) アガシ(韓国)  7.68(18)
③(2) 私たち(韓国)  7.66(14)
④(-) さざなみ  7.57(7)
⑤(-) ルーム  7.53(9)
⑥(-) BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント  7.45(5)
⑦(-) エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に  7.41(8)
⑧(-) トンネル(韓国)  7.21(14)
⑨(-) ボーン・トゥ・ビー・ブルー  7.13(6)
⑩(-) 釜山行き(韓国)  7.10(17)

 今回から再上映の旧作は除外することにしました。原則として韓国で初めて劇場公開され、現在も上映されている作品の中から選びました。したがって比較的新しい韓国映画の「似而非(サイビ)」[2013]=7.38や、「ソーシャルフォビア」[2015]=7.18は対象外です。この結果ずいぶん「見映え」が良くなった、というか、より現在の状況がわかるようになったと思います。ベスト10の中で本ブログ新登場は⑥と⑧の2作品です。
 ⑥「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」は、スピルバーグ監督の新作。あのロアルト・ダールの児童小説「オ・ヤサシ巨人BFG」(評論社)が原作の実写映画版ファンタジーです。ロンドンの児童養護施設に暮らす好奇心旺盛な10歳の少女ソフィーは、ある真夜中、窓から侵入した “巨大な手”によってベッドから持ち上げられて“巨人の国”に連れ去られてしまいます。彼女をさらって行ったのは身長8mの巨人BFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)でした。原作では人間マメを好物にしていたとかR.ダールらしいブキミな要素もあるのですが、つまりはフレンドリーな巨人。ひとりぼっちだったソフィーは、優しく孤独なBFGと心を通わせるようになりますが、次に登場するのがBFGとは正反対の凶暴な巨人たち、ということで危機に直面することになるわけです。韓国題は「마이 리틀 자이언트」。日本公開は9月17日です。
 ⑧「トンネル」については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月12日(金)~8月14日(日)] ★★★

         好調の韓国映画、今度はハ・ジョンウ主演の「トンネル」がトップ
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(27)・・トンネル(韓国)・・・・・・・・・・8/10・・・・・・・・・・1,821,882・・・・・・・・・2,582,035・・・・・・・・・21,011 ・・・・・・1,095
2(1)・・徳恵翁主(韓国)・・・・・・・・・・8/03 ・・・・・・・・・・・967,952・・・・・・・・・3,550,365・・・・・・・・・28,347・・・・・・・・827
3(2)・・仁川上陸作戦(韓国) ・・・・・7/27 ・・・・・・・・・・・465,975・・・・・・・・・6,229,941・・・・・・・・・48,750・・・・・・・・588
4(4)・・ペット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/03・・・・・・・・・・・368,796 ・・・・・・・・・1,721,103・・・・・・・・・13,227・・・・・・・・617
5(5)・・釜山行き(韓国)・・・・・・・・・・・7/20・・・・・・・・・・・346,302・・・・・・・・10,791,782・・・・・・・・・86,938・・・・・・・・562
6(12)・・-国家代表 2(韓国) ・・・・・・8/10・・・・・・・・・・・263,182 ・・・・・・・・・・407,298・・・・・・・・・・3,188・・・・・・・・541
7(3)・・スーサイド・スクワッド ・・・・・8/03・・・・・・・・・・・116,402・・・・・・・・・1,793,941・・・・・・・・・15,020・・・・・・・・414
8(6)・・ジェイソン・ボーン・・・・・・・・・7/27・・・・・・・・・・・・58,922 ・・・・・・・・・2,539,281・・・・・・・・・20,657・・・・・・・・176
9(7)・・名探偵コナン・・・・・・・・・・・・・8/03・・・・・・・・・・・・50,088 ・・・・・・・・・・・459,210・・・・・・・・・・3,393・・・・・・・・207
       純黒の悪夢(ナイトメア)(日本)
10(21)・・スーパー・フレンズ(韓国)・・8/10・・・・・・・・・・32,255 ・・・・・・・・・・・・56,103 ・・・・・・・・・・・429 ・・・・・・・・255
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 前回の予測通り「トンネル」がトップ。「釜山行き」→「仁川上陸作戦」→「徳恵翁主」に続く連続の韓国映画大ヒットで、他の2作品と合わせて6作品がベスト10入りとは、韓国映画業界はうれしい夏でしょうね。
 今回の新登場は1・6・10位の韓国映画3作品です。
 1位「トンネル」は、帰宅途中事故で崩落したトンネルに閉じ込められた男と彼の救助を巡るトンネルの外の人々を描いた災害ドラマ。自動車販売代理店の課長イ・ジョンス(ハ・ジョンウ)は、大きな契約件を控えて陽気な気分で家に向かう途中、 突然崩れ落ちたトンネルの中に1人閉じ込められてしまいます。コンクリートの残骸と鉄筋構造物に取り囲まれて自由に動くこともできない状態で、持っている物はバッテリー残量78%の携帯電話とミネラルウォーター2本、そして娘に贈るはずだったバースデーケーキだけ。事故のニュースが流され政府は緊急に事故対策班を設置しますが、その救助隊長テギョン(オ・ダルス)は、塞がれたトンネルへの進入を試みるものの救助作業は遅れるばかり。 一方、ジョンスの妻セヒョン(ペ・ドゥナ)はジョンスが唯一聞くことができるラジオを介して夫を励まします。
救助作業は遅々として進まず、最終的には近くの第2のトンネル完成に大きな支障を与えることにもなり、ジョンスの救助に対して世論も分裂してゆきます・・・。「その日崩れたのは、トンネルだけではなかった」というコピーの意味が徐々に露わになってきます・・・。原題は「터널」です。
 6位「国家代表 2」は、大ヒットした「国家代表」(2009)同様冬季オリンピックをめざす選手たちの話。前作は男子のスキー・ジャンプチームでしたが、この第2作は女子アイスホッケーチーム。やはり冬季オリンピックの誘致のための急造チームが「皆が不可能だと考えていた胸熱い挑戦を描く」というもの。どうも既視感はぬぐえずか。また監督役がオ・メンバーで、中心メンバーがスエとかの顔ぶれでダイジョブなんでしょうか? 原題は「국가대표 2」です。
 10位「スーパー・フレンズ」は、韓国の3Dアニメ。未来都市のロボット天才サムが発明した変わり種ロボットの孫悟空と沙悟浄と猪八戒。 毎日事故を追っていた彼らは、ある日街を破壊しようとしている悪役オスカーの陰謀に巻き込まれ、否応なく都市救出作戦に飛び込むことに。よりによって心もとない彼らに都市の運命が託されてしまいます・・・。原題は「슈퍼 프렌즈」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(8)・・スーパー・フレンズ(韓国)・・・・・・・・8/10 ・・・・・・・・・・・・・・32,255 ・・・・・・・・・・・56,103・・・・・・・・・・・・・429 ・・・・・・・・255
2(1)・・海よりもまだ深く(日本)・・・・・・・・・・7/27 ・・・・・・・・・・・・・・・9,272・・・・・・・・・・・・69,318・・・・・・・・・・・・・574 ・・・・・・・・・43
3(2)・・僕のサンティアゴ巡礼の道・・・・・・7/14 ・・・・・・・・・・・・・・・4,964・・・・・・・・・・・・80,385・・・・・・・・・・・・・619 ・・・・・・・・・33
4(新)・・マイルス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/10 ・・・・・・・・・・・・・・・4,194・・・・・・・・・・・・・6,696・・・・・・・・・・・・・・55・・・・・・・・・・49
5(3)・・胸騒ぎのシチリア・・・・・・・・・・・・・・・8/03 ・・・・・・・・・・・・・・・2,514・・・・・・・・・・・・12,133・・・・・・・・・・・・・・97 ・・・・・・・・・30

 またまた前回と順位に食い違いが生じてます。それで本ブログの新登場は1・4・5位の3作品ということになります。
 1位「スーパー・フレンズ」については上述しました。
 4位「MILES AHEADマイルス・デイヴィス 空白の5年間」は、もちろんあのモダン・ジャズの巨人の伝記映画。タイトル中の「空白の5年間」とは、1975年「アガルタ」と「パンゲア」を出した後、突如として姿を消した5年間のこと。慢性の腰痛を抱え、ドラッグ等で荒んだ生活を送っているマイルスの元に押しかけたローリング・ストーンズ誌の記者デイヴ・ブレイデン(ユアン・マクレガー)の目を通して、マイルスの復活までのストーリーを描きだします。邦題の初めの「Miles ahead」は原題で、これはマイルズ1957年にリリースしたアルバム名ですが韓国題はたんに「마일스(マイルス)」。日本公開は12月23日とのことです。
 5位「胸騒ぎのシチリア」は、イタリア・フランス合作のシチリアを舞台にした男女4人の恋愛模様を描いたドラマ。人気ロック歌手のマリアン(ティルダ・スウィントン)とその年下の恋人ポール(マティアス・スーナールツ)のバカンスに、マリアの元カレの音楽プロデューサーのハリー(レイフ・ファインズ)がセクシーな娘ペン(ダコタ・ジョンソン)を連れてが押しかけてきて、そりゃマリアもポールも胸騒ぎ、どころか思いがけない事件まで繰り転げられていきます・・・。韓国題は「비거 스플래쉬 」。日本公開は11月です。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [8月19日(金)~8月21日(日)]

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 バッテリーパックは交換したものの、今度はルーターが不調でインターネット接続が不安定。どこまでも続くパソコンの不具合、あーあ。しかし気持ちだけはなぜかやる気が出てきたので、映画興行成績以外の記事も続けてアップします。(5時間後くらい?)

 アイルランドの伝説を素材にしたアニメ「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」は期待通り! 絵が美しい。芸術的。→公式サイトで見てみて! アメリカ等の3Dアニメとはラベルが違う。<ぴあ映画生活>の初日満足度ランキング1位もナットク。字幕版は首都圏では恵比寿ガーデンシネマだけ?

 21日未見だった松江哲明監督「あんにょんキムチ」を観てきました。李相日監督「青・chong」同様1999年日本映画学校の卒業制作で(つまり同期)、両監督とも在日3世。その時期(90年代)はもしかして在日3世のアイデンティティをめぐるひとつの画期だったかも・・・。

 現在韓国で観客動員500万人を超えた「徳恵翁主」の‘歴史歪曲’について、韓国紙の記事に注目しています。徳恵翁主(トッケオンジュ. 1912~89)は高宗と側室・梁氏との間に生まれ、1930年旧対馬藩主・宗家の当主である宗武志伯爵の夫人となった王女で、光復後離婚して韓国に戻りましたが、長く病に苦しむ等悲運の人生を送った女性です。ところがこの映画では架空の独立運動家を登場させたり、徳恵翁主等の朝鮮の王族も独立の意思を明確に持っていたように描かれています。これに関して「中央日報(日本語版)」では<映画『徳恵翁主』の歪曲議論、韓国史研究の新たな踏み台に>と題した記事(→コチラ)で「決定的なミスは徳恵翁主を独立闘士型のキャラクターとして描いたという点だ」等々と批判的に記しています。また図書館で19日付の「朝鮮日報」を見たら文化面の上半分に<日本人のように育った徳恵翁主・・・李鍝(義親王の息子)は広島原爆の犠牲者>という見出しの大きな記事がありました。(右画像) 副見出しは<映画「徳恵翁主」と異なる朝鮮王朝最後の後裔たちの実際の生>です。被爆死した李鍝(イ・ウ)については→コチラの過去記事でも少し書きました。「朝鮮日報」の記事(→コチラ)によると、彼を知る日本人の証言のように李鍝が民族意識が高かったのは確かだとしても、映画に描かれたように具体的な行動をしたわけではない」ということです。
 私ヌルボ、「暗殺」等々日本の統治期を背景にした韓国映画に独立運動家が登場するのは<お約束>として受けとめるしかないという感じで観ていましたが、韓国メディアの中で<史実>にこだわる主張が出てきたことは「ほほーっ」と思いました。それが保守紙から、という点もそれなりに意味がありそうです。(韓国内の左右両派の歴史認識問題がらみで。)
   「朝鮮日報」8月19日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。) 「ソウル駅」
   監督が語りたかった話 ★★★☆


 「スター・トレック BEYOND」
   BEASTIE BOYSが甦った ★★★

 「クリーピー 偽りの隣人」
   恐怖は一番身近な所に ★★★

 「クリーピー 偽りの隣人」は、日本では6月公開された黒沢清作品。他の2作品は以下の記事の中で紹介しています。
         ★★★ NAVERの人気順位(8月24日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-) KING OF PRISM by PrettyRhythm(日本)  9.40(164)
②(5) 私たち(韓国)  9.24(841)
③(-) 一死覚悟(韓国)  9.19(234)
④(-) オーヴェという男  9.14(1,158)
⑤(-) シーモアさんと、大人のための人生入門  9.13(446)
⑥(-) 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)(日本)  9.07(2,417)
⑦(-) Twinsters ~双子物語~  9.07(253)
⑧(-) 太陽の下  8.98(709)
⑨(-) ルーム  8.97(780)
⑩(-) 横道世之介(日本)  8.97(36)

 今回から下の【記者・評論家による順位】と同様に再上映の旧作は除外することにしました。原則として韓国で初めて劇場公開され、現在も上映されている作品の中から選びました。
 本ブログ初登場は①と⑩の日本映画2作品です。③と⑦については再度説明。
 ①「KING OF PRISM by PrettyRhythm」は、日本では今年1月に公開された菱田正和監督によるアニメですが、認知度はどのくらいなのでしょうか? 私ヌルボは知りませんでした。現在も一部映画館で上映中ですが・・・。韓国題は「킹 오브 프리즘」です。
 ⑩「横道世之介」は、高良健吾と吉高由里子主演の2013年の作品。これは観たゾ、なぜか大阪で。なかなか好感が持てる映画。韓国題は「요노스케 이야기」。
 ③「一死覚悟」は、日本の統治期に神社参拝が偶像崇拝にあたるとして神社参拝強要を拒否し、拷問の末に殉教した牧師・朱基徹(チュ・ギチョル.1897~1944)の一生を描いたドキュメンタリー映画。原題は「일사각오」です。詳細は→コチラのブログ記事参照。
 ⑥「Twinsters ~双子物語~」は、英・仏・米・韓合作のキュメンタリー。フランス国籍でロンドン在住のデザイナーの勉強をしているアネイさんが「そっくりな女性が動画に出てる」と教えられたのがそもそもの始まり。相手も自分も誕生日は同じ1987年11月9日。アネイさんはアメリカ在住のその女性俳優サマンサさんに連絡を取ると生まれてすぐ養子の斡旋業者によって別々に引き取られていった双子だったことが判明。2013年5月、26年ぶりの再会後、2人はこの物語の映画化のためクラウドファンディングで資金を調達し、サマンサさん自身が監督となって完成した作品です。韓国題は「트윈스터즈」。日本での劇場公開はありませんが、Netflixで「双子物語」のタイトルで配信されています。(→コチラ。)

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) キャロル  8.96(13)
②(2) アガシ(韓国)  7.68(18)
③(3) 私たち(韓国)  7.66(14)
④(5) ルーム  7.53(9)
⑤(6) BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント  7.45(5)
⑥(8) トンネル(韓国)  7.21(14)
⑦(9) ボーン・トゥ・ビー・ブルー  7.13(6)
⑧(10) 釜山行き(韓国)  7.10(17)
⑨(-) スター・トレック BEYOND  7.10(5)
⑩(-) 海よりもままだ深く(日本)  7.07(11)

 新登場は⑨「スター・トレック BEYOND」だけです。これについては後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月19日(金)~8月21日(日)] ★★★

         「トンネル」が500万人を超えてトップを維持
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・トンネル(韓国)・・・・・・・・・・・8/10・・・・・・・・・・1,119,702・・・・・・・・・5,085,535・・・・・・・・41,422 ・・・・・・・・904
2(2)・・徳恵翁主(韓国)・・・・・・・・・・8/03・・・・・・・・・・・501,870・・・・・・・・・4,832,903・・・・・・・・・38,568・・・・・・・・722
3(新)・・-スター・トレック BEYOND・・8/17 ・・・・・・・・493,400 ・・・・・・・・・・678,407・・・・・・・・・・6,115・・・・・・・・703
4(4)・・ペット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/03・・・・・・・・・・・223,584・・・・・・・・・2,246,049・・・・・・・・・17,294・・・・・・・・523
5(3)・・仁川上陸作戦(韓国) ・・・・・7/27・・・・・・・・・・・193,642・・・・・・・・・6,762,044・・・・・・・・・52,944・・・・・・・・511
6(5)・・釜山行き(韓国) ・・・・・・・・・・7/20・・・・・・・・・・・180,580・・・・・・・・11,223,030・・・・・・・・・90,456・・・・・・・・459
7(6)・・-国家代表 2(韓国) ・・・・・・・8/10・・・・・・・・・・・・68,140 ・・・・・・・・・・645,584・・・・・・・・・・5,027・・・・・・・・330
8(72)・・ソウル駅(韓国) ・・・・・・・・・8/17・・・・・・・・・・・・67,572・・・・・・・・・・・121,556 ・・・・・・・・・・・966・・・・・・・・440
9(7)・・スーサイド・スクワッド・・・・・8/03・・・・・・・・・・・・22,769・・・・・・・・・・1,882,718 ・・・・・・・・15,750・・・・・・・・125
10(新)・・ラチェット&クランクTHE MOVIE・・8/17 ・・・22,259・・・・・・・・・・・・34,489 ・・・・・・・・・・・254・・・・・・・・237
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「トンネル」が500万人を超えて前週に続いてトップ。2位の「徳恵翁主」も23日500万人を超えました。なお「釜山行き」の数字は現在のところ「シルミド」を抜いて歴代韓国映画中の第13位です。
 今回の新登場は3・8・10位の韓国映画3作品です。
 3位「スター・トレック BEYOND」は、人気SFアクションシリーズの第3弾。未知の領域を探索したエンタープライズ号のクルーがまた新たな敵と遭遇するようですよ。何を隠そう私ヌルボ、2009年の「スター・トレック」を観た後、<ぴあ映画生活>に100人中1人の「腹立たしかった」というコメントを載せたことがありました。今確認したらいつの間にか消されてるゾ!(怒) 韓国題は「스타트렉 비욘드」。日本公開は10月21日です。
 8位「ソウル駅」は、「釜山行き」のヨン・サンホ監督が「釜山行き」の前日の夜をアニメで描き出した作品。ある日、不治の病に冒された浮浪者がふらふらと歩く中、家出少女(声:シム・ウンギョン)とボーイフレンド(声:イ・ジュン)、娘を探している父(声:リュ・スンニョン)がその場所にいました。やがてソウル駅を起点に異常なウィルスが拡散し始め、瞬く間にソウル駅は制御不能の状態になってしまいます・・・。この映画、記者・評論家の平均評価が6.92と悪くないのに、ネチズンはなぜか4.34。理由はよくわからず。原題は「서울역」です。
 10位「ラチェット&クランクTHE MOVIE」は、アメリカのSFアクション・3Dアニメ。主人公の少年ラチェットと相棒のロボット・クランクは元来はプレステのゲームソフトの人気キャラ。本作ではクランクと出会う前、ラチェットが働いていた宇宙船の修理ガレージに修理を頼んだお客さんがやってくるのですが・・・、というところから銀河の危機を救う壮大な物語になっいく? 韓国題は「갤럭시 히어로즈: 라쳇 앤 클랭크」。日本では劇場公開はなくブルーレイディスク、DVDを発売。詳細は→コチラ

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(30)・・ソウル駅(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・8/17 ・・・・・・・・・・・・・・67,572 ・・・・・・・・・・121,556・・・・・・・・・・・・・966 ・・・・・・・・440
2(11)・・カイ:湖の伝説(韓国)・・・・・・・・・・8/10 ・・・・・・・・・・・・・・11,734 ・・・・・・・・・・・18,576・・・・・・・・・・・・・141 ・・・・・・・・172
3(2)・・海よりもまだ深く(日本)・・・・・・・・・・7/27 ・・・・・・・・・・・・・・・3,801・・・・・・・・・・・・80,233・・・・・・・・・・・・・665・・・・・・・・・24
4(1)・・スーパー・フレンズ(韓国)・・・・・・・・8/10 ・・・・・・・・・・・・・・・3,510 ・・・・・・・・・・・84,304・・・・・・・・・・・・・633・・・・・・・・・28
5(3)・・僕のサンティアゴ巡礼の道・・・・・・7/14 ・・・・・・・・・・・・・・・2,381・・・・・・・・・・・・86,885・・・・・・・・・・・・・667・・・・・・・・・15

 新登場は1・2位の2作品です。
 1位「ソウル駅」については上述しました。
 2位「カイ:鏡の湖の伝説」は、韓国アニメ。少年カイが住んでいた平和な村が、ある日雪の女王ハタンの魔法にかかり氷で覆われてしまいます。村の守護神の川の精霊は、カイにハタンに立ち向かえる唯一の鍵である霊魂の玉を渡し、危機に陥った村を救うように告げます。カイにあたえられた時間は3日間。村を守るためのカイと森の仲間たちとの冒険が始まります・・・。原題は「카이: 거울 호수의 전설」です。

「仁川上陸作戦」等々、朴槿恵大統領の映画鑑賞記録  趣味というより、明確な‘政治パフォーマンス’

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 打ち続くパソコンの不調にもめげずに続けてブログ記事をアップするぞと思ったら保存したはずの数時間分の文章が丸ごと消えている!(涙) まあ「フランス革命史」の原稿を不注意で燃やされてしまったカーライルのことを思えば取るに足りないことでございます、とほほ。・・・というわけで、予定の記事が大幅に遅れてしまいました。

 2015年韓国では1人当たり平均して年間4.22回映画館に行って映画を観たそうで、この数字は世界で最高レベルとのことです。日本は映画文化最盛期の1958年には年間平均12.3回という信じられないような数字でしたが、TV時代の到来とともに激減し、今はその10分の1に届くかどうかという程度。つまり韓国の4分の1といったところです。
 しかし韓国人の皆が皆映画好きというわけでもありません。私ヌルボの知り合いのYさんは韓国映像資料院(&映画館)と同じ建物内にオフィスがあるのに「映画は観ません」と言うので、「せっかく宝の山の中にいるのに・・・」と「今昔物語集」の貪欲な受領のような感想を口にしたことがありました。(・・・って、たとえが意味不明か?)

 では朴槿恵大統領の場合は?と思ってちょっと調べてみました。直近では8月20日に今夏の韓国の大ヒット作中の1つ「仁川上陸作戦」を観覧したことが報じられました。・・・というか、それがこの記事のキッカケ。
 テニスをやったりピアノを弾いたり(←自宅にハンブルク製のスタインウェイがある)、また国仙道(ククソンド=韓国独自の道教系の武術)は素人のレベルを超えるという趣味を持つ朴槿恵ですが、映画はその中にはないようです。しかしたまに映画を観に行くと今回のように報道されるので、少なくとも大統領就任後の映画鑑賞記録はわかります。
 以下、就任直前も含めて時系列でまとめてみました。

[前史その1]
○2008年5月27日「クロッシング」 ※参照→<輝国山人のHP>
 李明博大統領の就任3ヵ月後、ハンナラ党の陣永(チン・ヨン)議員の主催により国会議員会館で開かれた試写会で上映。朴槿恵ハンナラ党元代表等与党ハンナラ党の主要メンバーだけでなく、野党の統合民主党議員も参加した。またホン・ヤンホ統一部次官や、北朝鮮関係の人権団体関係者、そしてキム・テギュン監督、300人の脱北者も共に観覧した。
[作品概要] 北朝鮮の元サッカー選手で、炭鉱労働者のキム・ヨンス(チャ・インピョ)は、妻ヨンと11歳の息子ジュニとの3人家族。ところが妊娠中のヨンハが肺結核で倒れてしまい、薬を入手するためヨンスは国境を越えて中国へ。薬の費用を稼ごうと森林伐採の仕事に就くが不法労働が発覚し公安に追われる身となった時に、北朝鮮の実情を話せばお金を得られるという話を聞いてインタビューに応じ、それを契機に脱北して韓国に入国することになる。その間妻は息を引き取り、孤児になった息子は国境の川を目指すが失敗、強制収容所で過酷な日々を過ごすことになる。韓国に到着したヨンスはすぐに息子捜しを依頼し、仲介者によって息子はモンゴル方面への脱出を果たしたとの情報がもたらされるが・・・。
[ヌルボの一言] 脱北者と北朝鮮人権活動家たちは泣きながら映画を観ていたそうで、朴槿恵元代表もヨンス父子が電話でお互いを確認する場面からハンカチで涙を拭い始め、最後まで涙を流していたとのこと。(ヌルボもよーくわかります(涙)。なお、試写会の運営委員長は脱北者で朝鮮日報記者の姜哲煥(カン・チョルハン)氏で、「今まで北朝鮮を素材で作られた韓国映画の中で最も北の実状に近い作品で、あえて勧めるまでもないほどよく作られている」との感想を述べています。
 韓国では北朝鮮の人権問題に関心を示すのは保守陣営側です。2012年2~3月脱北者24人が中国公安当局に逮捕されるということがあり、彼らの北朝鮮への強制送還反対運動が韓国で高まったことがありました。その時この映画で主演したチャ・インピョも抗議デモに参加しましたが、インタビュアーに「なぜ進歩系人士のはずのあなたがこういうデモに?」と問われたとか。彼は「このような人権問題に、進歩だ保守だというような政治的・思想的な違いはない」としごままっとうに答えたそうです。※本ブログの関連記事→コチラや→コチラ等。

[前史その2]
○2012年11月12日「南営洞1985」  ※邦題は「南営洞1985~国家暴力、22日間の記録~」。 参照→<輝国山人のHP>
 大統領選挙の1ヵ月前に江南メガボックスCOEXで開かれたVIP試写会で上映。民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)、無所属の安哲秀(アン・チョルス)、統合進歩党の李正姫(イ・ジョンヒ)、進歩正義党の沈相奵(シム・サンジョン)といった野党の大統領選挙候補がこぞって参加したが、セヌリ党の朴槿恵候補は参加しなかった。
[作品概要] 全斗煥の軍事独裁政権下の1985年9月。民主化運動家キム・ジョンテは、彼をかねてからマークしていた公安警察に逮捕され、南営洞のある治安本部対共分室に連行される。そこで22日間にわたり想像を絶するほどの残酷な拷問を受ける・・・。
 2011年12月死去した金槿泰(キム・グンテ)民主統合党常任顧問の自伝的手記「南営洞」を原作にした作品。彼は1985年民主化運動青年連合(民青連)事件で拘束され、この映画に描かれたような過酷な拷問を受けた。後に国会議員になり、盧武鉉政権では保健福祉部長官を務めたが、拷問の後遺症によりパーキンソン氏病を病み、64歳で世を去った。
[ヌルボの一言] 2014年5月に渋谷のアップリンクで鑑賞。歴然たる反朴正煕・反全斗煥・反保守政権の映画なので、反朴槿恵候補が来るわけはないですね。ケン・ローチ監督「ルート・アイリッシュ」等でも見た濡れタオルで顔を覆い、その上から水をかける拷問がこの映画でも出てきました。<ウォーターボーディング>という歴史ある拷問方法だそうです。拷問専門技術者を演じた準主役のイ・ギョンヨンの存在感が印象に残りました。

①2014年1月29日「ナッツ・ジョブ(The Nut Job:ピーナツどろぼうたち)」 ※日本公開ナシ
 制定後初の<文化がある日(문화가 있는 날)>に、ソウルの大韓劇場で招待された児童・青少年160人余りと一緒に観覧。会場には、キム・ドンホ文化隆盛委員長、ユ・ジンニョン文化体育観光部長官の他、青少年歌手の悪童ミュージシャン、俳優のイ・グァンス等も姿を見せた。
 ※<文化がある日>は、毎月最後の水曜日に全国の映画館・劇場・美術館等の文化施設や野球・サッカー等の競技場の入場料を無料or割引にして、子供をはじめとする多くの国民が文化生活を享受できるように文化隆盛委員会と文化体育観光部が施行された制度。
[作品概要] 韓国産3Dアニメ(コメディ?)。主人公はリスのサーリー。ずる賢こくて仲間たちから迷惑がられて公園から追放され都心部へ。ついて来たのは親友のネズミのバーディ。空腹に堪えられず2人はピーナツ店に忍び込むが、実はそこは銀行強盗たちの隠れ家で・・・、というお話。「中央日報」の記事(→コチラ)によると、この少し前に北米全域で公開され、韓国映画としては過去最高の興行記録を更新しているとか・・・。
[ヌルボの一言] 前年に朴槿恵が主宰した貿易投資振興会の場で、この映画の製作会社から「良い作品を作ったが、マーケティングの資金が足りなくて・・・」という話を聞いて政府と金融機関が積極的に支援することになった、という経緯があったとのこと。大統領は「私にも格別な愛情が行くような作品」とそんな縁を紹介するとともに、「今後も良い作品やアイデアがあれば、このように輸出されて世界の人々に愛され、韓国の文化芸術の力量を発揮できるので、積極的に支援していきます」と強調しています。・・・ということで、子供のことよりも<輸出コンテンツ>として・・・という意図が明明白白。

②2014年8月6日「鳴梁」 ※邦題は「バトル・オーシャン 海上決戦」で、劇場公開はなくDVDのみ。参照→<輝国山人のHP>
 とくに事前の予告もなく汝矣島(ヨイド)の映画館で秘書室長等の側近の他、キム・ドンホ文化隆盛委員長、国民的俳優アン・ソンギ等と共に鑑賞。朴槿恵大統領の本作品について、大統領府報道官は「国が危機を迎えたときに官民軍が合同して危機を克服し、国論を結集した精神を鼓吹し、経済の活性化と国家革新を一斉に推進しようという意味がある」と語り、「セウォル号沈没事故の後、低迷の沼に陥った韓国社会を再起させるリーダーシップを見せる」と説明した。
[作品概要] 壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で水軍を率いて日本軍と戦った韓国の英雄・李舜臣を主人公とした時代劇。年齢層を問わずに受け入れられ、観客動員数1761万人は外国映画も含めて韓国で上映された作品中1位という大ヒット作。新聞各紙の社説にも取り上げられたが、キーワードは‘リーダーシップ’。「東亜日報(日本語版)」(→コチラ)は「セウォル号惨事で各界の指導者の無責任さと無能力さを目の当たりにした後なので、一層感動的だったのかも知れない」と記している。「鳴梁」ブームは政界にも及び、与野党の政治家たちも多数鑑賞した。(参考→「聯合ニュース(日本語版)」)
[ヌルボの一言] 2014年8月鍾路3街のロッテシネマピカデリーで鑑賞。といっても聴き取り能力不足でセリフの半分以上はわからず。日本語版DVDは観ていません。韓国人と日本人で善悪を分けているような描き方はしていないし、日本で小規模でも一般公開してほしかったですね。

③2015年1月28日「国際市場」  ※邦題は「国際市場で逢いましょう」。 参照→<輝国山人のHP>
 この年最初の<文化がある日>にキム・ジョンドク文化観光部長官、キム・セフン韓国映画振興院長、そしてユン・ジェグン監督と出演俳優ファン・ジョンミン、キム・ユンジン、オ・ダルス等と鑑賞。
[作品概要] 朝鮮戦争から現代まで家族のために働き続けたドクス(ファン・ジョンミン)の人生を韓国の現代史を背景に描いた作品で、これも1425万人と「鳴梁」に続いて歴代2位の観客動員数を記録している。
 冒頭、朝鮮戦争中の1951年1月北朝鮮の興南(フンナム)埠頭から撤収する人混みの中でドクスは父と妹を見失う。(→参考過去記事。)その後、貧しい暮らしの中で父に代わって母や弟妹の面倒を見ながら、60年代以降はドイツに炭鉱労働者として出稼ぎに行き(そこで看護婦だった韓国人女性と結婚)、次にはベトナム戦争に従軍し・・・というドクスの人生は同世代の韓国人を象徴するような人物。とくに彼が妻に送った手紙の中の「苦労したのが自分でよかった、子どもたちじゃなくてよかった」というくだりは多くの人の共感と涙をよび起した。
 ※会場には、ドイツに派遣された鉱夫と看護師、離散家族等も招待を受け参席していた。
[ヌルボの一言] 2015年5月シネマート新宿で鑑賞。いろいろ韓国現代史の知識を得たのは収穫。一方、主に進歩陣営の側から出されたこの作品の‘歴史認識’に対する厳しい批判もよくわかります。李承晩政権を倒した4.19学生革命も朴正煕による5.16クーデターも、1980年の5.18光州民主化運動やそれに続く民主化闘争等々も全然描かれず。ちょっと政治的シーン(?)といえば、夫婦喧嘩を中止して定時の国旗下降式に拝礼する場面(右画像)くらい(朴正煕時代)。監督は「<意識して>政治性を排除した」とのことですが、いくら庶民目線とは言ってもこのような歴史的に大きな出来事まですっぽり抜けているのはやっぱ不自然。
【ファン・ジョンミンが朴大統領、ユン・ジェギュン監督とスマホで自撮りしている。「韓国日報」の記事より。】
④2016年5月5日「太陽の下」  ※日本では「太陽の下で -真実の北朝鮮-」という邦題で2017年新春公開される予定。
 子供の日(日本と同日)にソウル市内の劇場で、国家有功者や脱北者家族たちと観覧。朴大統領は、映画を鑑賞した後、「子供の日を迎え、夢を失い困難な中を生きていく北朝鮮の子供たちを私たちが抱いて守らなければならないということを重ねて痛感しました。それとともに、北朝鮮が核開発を放棄して、住民や子供たちの生活を守るようにするきっかけになればいい。国民の皆さんにも観覧をお勧めしまします」と語った。
[作品概要] 北朝鮮の8歳の女の子ジンミとその家族の日常についてのドキュメンタリー映画を撮るはずだったロシア人監督が、北朝鮮当局の露骨な<演出>に気づき、方針を変更して密かにカメラの録画スイッチを入れたまま放置し、その<ヤラセ>の実態を暴露する内容に作り替えた作品。
 ※この作品については、本ブログの記事<北朝鮮の女の子の日常ではなく、北朝鮮当局の「ヤラセ」を暴露してしまったドキュメンタリー「太陽の下」>(→コチラ)でも紹介。またNHKでも5月12日この作品の内容と、朴大統領が観覧したこと等をかなり詳しく報じている。(参照→<NHKBS1ワールドウォッチング>の記事。)
[ヌルボの一言] 国内の大事故や、自国にとって都合の悪い海外記事などは一切報道しない等々、真実を隠して外面だけは美しく取り繕うという北朝鮮の姿勢はよく知られていることなので、内容的にはとくに驚くようなことはなさそう。平壌からして外向けのショーウィンドーのような都市だし・・・。「実際の」人々の生活のようすはもちろん、撮影場所のアパートとか諸施設も地方に行けばどんなものか、ということまで知りたいものです。もちろん、来年の日本上映には行きますが・・・。

⑤2016年8月20日「仁川上陸作戦」
 ソウル市内龍山区の映画館で、首席秘書官や大統領官邸スタッフ等とCJグループのソン・ギョンシク会長の案内により鑑賞。大統領府は「朴大統領がこの作品を鑑賞したのは、累卵の危機にあって祖国のために献身した護国の英雄たちの精神を今一度振り返り、最近の北朝鮮の核の脅威など安全保障上の問題をめぐって韓国国民が分裂せず、団結して危機を克服すべきだという確固たる信念を反映したもの」と説明した。
[作品概要] 1950年6月25日北朝鮮の突然の南侵で始まった朝鮮戦争の局面を一変させた仁川上陸作戦を、その計画段階から描いたドラマ。開戦後1ヵ月で釜山方面を除くほぼ全域を奪われ、韓国存亡の危機に直面した状況下、国連軍最高司令官マッカーサー(リーアム・ニーソン)は至難な作戦を周囲の反対を押し切って推進する。彼の指示で対北朝鮮諜報作戦に投入された海軍諜報部隊大尉チャン・ハクス(イ・ジョンジェ)は北朝鮮軍に偽装し仁川に入って情報を収集し始めるが、北朝鮮軍の仁川防御司令官リム・ギェジン(イ・ボムス)によって正体がばれそうになる危機の中で、ハクスとその部隊員たちは仁川上陸艦隊を誘導する危険な任務にあたる・・・。
[ヌルボの一言]  「釜山行き」「徳恵翁主」「トンネル」とともに今夏韓国で観客動員500万人以上を突破した大ヒット4作品中の1つ。その中で「朴槿恵大統領が観た映画は?」と問われれば少し韓国事情を知っている人であればニュースを知らなくてもこの作品と即答できるでしょう。
 「聯合ニュース」の記事(→コチラ)によると朴大統領は映画観覧前々日の18日には本作品の舞台になった仁川・月尾公園を訪れ、マッカーサー将軍が最初に降り立ったグリーンビーチ、当時の砲火に耐えた平和の木、韓国海軍諜報部隊の英霊を慰める忠魂党等を回り、公園の展望台からは仁川港、八尾島灯台、松島新都市などを眺めたそうです。(右画像。) そして「<護国報勲の精神>と<国内観光の活性化>を強調」というのが非常にわかりやすい政治的メッセージ。
 なお、「中央日報(日本語版)」(→コチラ)によれば、8月20日青瓦台(大統領府)の公式ツイッターに「猛暑がピークを迎える今週末、皆さんも「仁川上陸作戦」を観覧してみてはいかがですか?」という書き込みが掲載されたが、これに対して「青瓦台が公式チャネルを通じて特定の商業映画をおおっぴらに広報してもかまわないのか」等の批判の声が出ているとか。たしかに、これはいかにもあからさまでしたね。
 ※ことのついで。青瓦台のツイッターは→コチラ。ユーザー名はbluehousekoreaなんですね。
【青瓦台のツイッターにある大統領の「仁川上陸作戦」鑑賞と、‘問題の’カキコミ。】
《総括》
 記事冒頭で朴槿恵大統領の趣味のことなど書いてしまいましたが、考えるまでもなくぜ~んぜん関係なかったですね。大統領が映画を観るとなるとニュースになるし、当然政治的文脈で受けとめられます。したがって、大統領も政治的にいろいろ考えた上で映画を選定し、そこに招待する人たちを決め、自身のコメントの内容等々を練るわけで、趣味とは別次元の政治パフォーマンスなのです。
 そして朴槿恵大統領の場合、その政治的ねらいがとてもわかりやすいです。
 つまり①国防意識の醸成 ②「国民的一体感」の高揚 ③北朝鮮の否定的状況の周知 ・・・といったこと。
 とくに深く考察するまでもなくわかることなので、こんなにくだくだしく長々と書くような記事でもなかったですね。(すみません。)

 長くなりついでに、安倍晋三首相の映画鑑賞についてもちょっと調べてみました。
・2013年5月11日 東京・六本木でスピルバーグ監督「リンカーン」を鑑賞。
・2015年11月13日 トルコ共和国のエルドアン大統領とイスタンブールで「海難1890」鑑賞。
・2015年12月29日 東京・六本木の映画館で昭恵夫人と「杉原千畝 スギハラチウネ」を鑑賞。
・2015年12月31日 この日も六本木で昭恵夫人らと「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を鑑賞。
 日本のメディアがあまりこうしたネタを取り上げないのは、首相といってもプライベートな部分にはあまり立ち入らないという意識が韓国に比べると強いからかな?
 なお、<国民が知らない安倍総理の真実>というまとめ記事(→コチラ)には次のようなことが書かれています。(一部省略)
 「政権の行き詰まりで体調もすぐれないと見られていた時期、総理大臣には密かな楽しみがあった。 それは、深夜や休日に自宅リビングに家族を集め、 なんとスプラッター映画 を鑑賞することだったのである。秘書に命じて次から次へと過激な作品を買い集め、嫌がる家族を座らせて大音量で上映し、目をらんらんと輝かせていた姿は、その家族にも「もう限界だ」と思わせるものだった。」
 これは政治ではなく趣味の領域。いかにも安倍首相らしいですね(笑)・・・ってホンマかいな?

おもしろくてためになる<歴史共和国 韓国史法廷>シリーズ 6月抗争・禁乱廛権等(その1)

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 2015年6月の記事(→コチラ)で「なぜ4.19革命が起こったのか?」という本を紹介しました。자음과모음(子音と母音)という出版社から発行されている全60巻の<歴史共和国 韓国史法廷(역사공화국 한극사법정)>というシリーズ中の1冊です。
 小学校高学年~中学生程度の生徒を対象とした歴史教養書シリーズで、読んでみると私ヌルボとしては知っていることもあり、知らないことはもっとたくさんありで、何よりも平易に書かれていて内容的にも文章のレベルもちょうどよく、気に入りました。

 それで今年3月韓国に行った時に同シリーズの本を2冊買ってきました。
 上の画像の左は「왜 6월항쟁이 일어났을까?」で、右は「왜 금난전권이 폐지되었을까?」。値段は定価1万1千ウォンですが、右の方はアラディン中古書店で半額以下の古本を購入しました。
 で、左の方の書名は「なぜ6月抗争は起こったか?」はすぐにわかりましたが、右は「なぜ금난전권が廃止されたか?」の、肝心の<금난전권(クムナンジョンクォン)>がわからず。数ページ読むと、日本史で言えば<楽市楽座>に相当する朝鮮王朝時代の施策らしい、と見当はつきますが・・・。帰ってからネット検索してそれが<禁乱廛権(きんらんてんけん)>という歴史用語であることがわかりました。

 案の定、どちらの本も期待通りのおもしろくてためになる本でした。以下、その内容と、私ヌルボが仕入れた知識等をかいつまんで紹介します。このところ1つの記事が長くなりすぎる傾向があるので、今回は1冊ずつに分けることにします。まず「なぜ6月抗争は起こったか?」の方から。

 <6月抗争>とは、全斗煥大統領の軍事政権下の1987年、6月10日から「6・29宣言」が発表されるまでの約20日間にわたって繰り広げられた学生を主体とする民主化運動のことです。
 ※今<6月抗争>で検索すると、ウィキペディア(→コチラ)の次、つまり2番目<60年安保闘争、韓国の6月民主抗争等、6月はデモの季節?>と題した本ブログの過去記事(→コチラ)がヒットしたのでちょっと驚きました。

 さて、この<歴史共和国 韓国史法廷>はどんな構成になっているかというと、舞台は>。登場人物も皆故人です。歴史上の出来事について、対立する2つの側の人物の一方が他の側の人物を訴え、韓国史法廷で原告と被告の主張とそれぞれの側の証人たちの証言等を経て、最後に裁判官が判決を下すというものになっています。なお、傍聴席の雰囲気も描写され、そこに重要人物が現れたりすることもあります。
 ※「過去のことを現代の価値観で裁く」というのは、まさに韓国らしいところですね(笑)。
 主役というべき原告・被告をみると、「なぜ4.19革命が起こったのか?」では原告は張勉(チャン・ミョン)、被告は李承晩(イ・スンマン)でしたが、必ずしもこのような実在の人物と限ったわけではありません。この本も、原告は元軍人の최애국(チェ・エグク)、被告はデモに参加していた元女子学生の나뮌주(ナ・ミンジュ)という架空の人物になっています。ふつうの名前らしい漢字をだと崔愛国と羅民珠あたりでしょうが、<最愛国>、<わたし民主>とも読めるのがミソ。
 ところで、ふつうに考えるとひどい弾圧を被ったデモ学生の方が原告で、権力側の軍人や警察の方が被告になるのでは?と思うところですが、逆に軍人が原告、学生が被告に設定されている点が構成の巧みなところ。では、原告の軍人が何に対して訴訟を起こしたか、その請求内容を簡単に言えば次のようなことです。

 歴史は公明正大でなければならず、またすべての時代や人物についても明るい面と暗い面がある。したがって全斗煥の時代(第5共和国)の評価に対する現今のような全否定的な評価は一方的で不公平だ。その歴史的不可避性と、業績を後世に正しく伝えることを請求する。

 いよいよ開廷です。いや、その前に傍聴席方面がただならぬ雰囲気。というのは、傍聴席が軍人グループと学生グループに二分され、それぞれ原告と被告を支援して気勢を上げているのです。
 なんと、軍人グループは軍歌を歌い始めます。
 「전선을 간다(前線を行く)」という歌。(→動画。) 代表的な軍歌の1つで、「최후의 5분(最後の5分)」とともにとくに人気があるとのことですが、ヌルボは初めて知りました。歌う前に原告自身が「반동 준비!(反動準備!)」、「반동 시작!(反動始め!)」と号令をかけていますが、반동(反動)というのは上画像のように腰の横に手を置いて体を左右に揺らす動作のことだそうで、別に彼らが反動的な連中だという意味でしありません。
 これに対抗して被告ナ・ミンジュのリードで傍聴席の学生たちも「임을 위한 행진곡(イムのための行進曲)」 (→動画)を歌います。この歌は知っていました。アン・チファン等が歌っている代表的な運動圏歌謡の1つです。(上のリンク先は<労働歌手>チェ・ドウンの歌。)

 原告・被告双方の証人には、日本人にもよく知られている人もいれば、それほどでもない人も・・・、って自分を基準にするのもよくないですが・・・。ヌルボが知らなかったのが下画像の人。原告側の証人です。
 
 全斗煥大統領の経済首席秘書官だった金在益(キム・ジェイク)。世界の主要国と比較した歴代政権の経済成長率をグラフで説明しています。それによると朴正煕政権=3.3%、全斗煥政権=5.7%、金大中政権=4.8%で、全斗煥政権の時が最も高いというわけです。
 この金在益は第5共和国の主要人物中の中で例外的によく知られているそうで、その理由①=経済について全く知らない全斗煥を補助して80年代に経済成長と物価安定を達成したということ、そして理由②=1983年10月のアウンサン廟爆破事件(ラングーン事件)つまり北朝鮮による爆破テロ事件の犠牲となって44歳で世を去ったこと。(ふーむ、そうだったのか。ドラマ「第5共和国」は未見。やっぱり見なくちゃ・・・。)
 ※金在益については「中央日報」のコラム(→コチラ)と→コチラのブログ記事参照。「韓国の隠れたる英雄」と賞揚しています。
 本書では、金在益の他に、「大学の本考査廃止・内申成績重視・課外禁止・大学の卒業定員制」を内容とする<7.30教育改革>を発表した李奎浩(イ・ギュホ)文教部長官も原告側証人として登場しています。
 彼等以外の証人は次のような人たちです。
             左から金日成・金大中・李韓烈(イ・ハニョル)・金槿泰(キム・グンテ)。
 金日成と金大中については説明するまでもないですね。李韓烈は、1987年6月9日の集会で戦闘警察による催涙弾を後頭部に受け、翌月5日死亡したた延世大の学生です。金槿泰のことはたまたま→1つ前の記事でも書いたように、2013年暮れ大統領選挙前に朴槿恵候補だけが観なかった映画「南営洞1985」の元となった体験記で、1985年治安警察に連行されて南営洞の治安本部対共分室で受けた残酷な拷問のことを書いた人です。
 ところで、この4人が皆被告つまり学生側の証人かというとそうではなく、1人は原告側の証人として出廷・証言しています。それはなんと金日成! 北朝鮮人らしく「안녕하십네까? 반갑습네다.」と挨拶しながら登場します。
 原告側が彼を呼んだのは、「北朝鮮の脅威があったから」という軍部独裁政権による国民の自由や権利等の制限の1つの理由が根拠のない言い逃れではないことを明らかにするためでした。原告側弁護士が光州民主化運動について金日成に「この闘争が南朝鮮全域に拡散すれば<対南事業>の決定的な機会にできる」と党幹部たちに強調しなかったか問うと、彼はそれを肯定しています。また金日成が「誤解を受けるかもしれないが、南朝鮮の人民は軍部独裁に堪えられないと思ったよ。4.19革命を凌ぐ大きな抵抗が起こるかと・・・。で政府がなくなったらわが共和国が秩序を回復して民族統一を達成しなければならないだろう? われわれが裏で工作しているなどという誤解はやめなさいよ」と言うと、弁護士はすかさず「裏で工作はしない? ではアウンサン事件は?」と追及。金日成は「何山(サン)だって?」と問い返し、説明されると「うーむ、そうだったっけなー」などとシラを切ったりします。弁護士はさらに1982年の学生たちによる釜山のアメリカ文化院放火事件(→ウィキペディア)についても金日成に訊こうとしますがこれは無理筋。

 裁判の後半は、逆に被告(学生側)の証言が続きます。
 上記の金槿泰と、李韓烈です。長くなるので彼等の証言は略しますが、李韓烈が7月9日行われた<李韓烈烈士民主国民葬>(下画像)について語っています。そして「皆が私の死に涙を流し、民主主義を望む歌を歌いました」と言いながら・・・
 ・・・彼が低い声で歌い始めると、ナ・ミンジュと傍聴席のあちこちからも歌声が上がり、悲愴ながらも勇壮な合唱が法廷に響き渡ります・・・。
 「타는 목마름으로  민주주의여, 만세!」という歌詞が絵の中に書かれています。金芝河の詩による「타는 목마름으로(灼けつく喉の渇きに)」ではないですか。この歌については→コチラの過去記事に歌詞&訳詞、そして金光石(キム・グァンソク)の動画付きで紹介しました。ご存知なかった方はぜひ聴いてみてください。

 いよいよ裁判は終幕を迎えます。勝訴はどちらか? 私ヌルボ、ふつうに考えて軍人側の勝訴はどうみてもないだろうとは思いました。では学生側の全面勝訴は?・・・等々考えながら読み進んでいくと、思わぬところでいきなり裁判が終わってしまいました。
 歌の後、李韓烈が心に沁みる話で証言を終えると、傍聴席から拍手が起こります。その時原告チェ・エグクは叫びます。「もう止め! この裁判はこれでおしまいにしてください!」。皆が驚いて彼の方に目をやります。
 ・・・ほとんどの方はこの本を読まないでしょうからネタバレOKですね。一応黄色にしておきます。「私はこの訴訟を取り下げます」。
 おー、こういう持っていき方があったのか。「知りませんでした。それほどまで若者たちがつらい日々を送っていたことを・・・。非民主もクーデターも国のためと思っていましたが、間違っていました」というのが彼が語ったその理由。
 裁判はこれで終わり。後日談が5、6ページ分ありますが・・・。

 さらにその後、<出かけよう、体験探訪>という記事が2ページ分付いています。見出しは「6月民主抗争の歴史が息づいている警察庁人権センター」。下画像はそこに掲載されている写真です。 
      警察庁人権センターは6月抗争当時(1987年)は南営洞対共分室と呼ばれていました。上述の金槿泰等が拷問を受けた所です。説明文によると「○○海洋研究所」という看板がかかっていたそうです。今、そこの別館(写真左)は自動・女性・障碍者警察支援センターになっており、本館1階は(人権センターの)歴史館、2~3階は人権相談室等、4階は対共分室で拷問により死亡したソウル大学生・朴鐘哲(パク・ジョンチョル)関係の展示室(写真中)、5階は朴鐘哲を死に追いやった調査室(写真右)が原型のまま保存されています。
 ※新村には李韓烈博物館があります。これらについては、青さんのブログに3つ関連記事があります。→コチラと→コチラと→コチラ。毎度のことながら、ヌルボが1度行ってみようかな?と思った所はとっくにほとんど(全部?)行っている、なんとも大した方です。

 忘れてしまいそうなことをタラタラ書いていったらまたまた長くなってしまいました。考えてみれば読んだ内容や調べたことの大半は「忘れてしまいそう」なことなので、必然的に長くなってしまうということのようです。
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