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Channel: ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ
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韓国の運転免許制度事情 「簡単すぎる」試験、年内に改定の見通し

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 2月18日(木)免許証の更新で二俣川の運転免許試験場に行ってきました。
気が乗らないことをしなければならないのはすごく苦手で、かなり前から気にはかかっていたものの、結局足を運んだのは期限切れ4日前。

 今まで何度も来た試験場ですが、講習の教官の話では1963年にできて今年で63年目とのことで、近く移転したがんセンターの跡地に新しく建てて移るのだとか。というわけで、次に来る時にはこの建物はありません。で、一応写真を撮っておきました。
 とくに今回は、目の酷使によりドライアイ気味で視力がちょっと心配だったのですが、無事通過。やれやれ。私ヌルボ、「運転が示すあなたのお人柄」の標語そのままの優良ドライバーですが(笑)、過去減点ゼロはたぶん1回だけで、今回は30㎞/h制限の道を10㎞/hちょっとオーバーしたことが1度あって1時間の講習受講。大体そんなもの。で、毎度思うのは、この1時間の講習が全然タイクツではないこと。実際のドライブレコーダーによる事故等の記録で構成された映画(30分)、自己診断(13分)、講義(17分)といった内容で、講義も「危険行為を繰り返す自転車運転者の講習第1号は大阪の人で、2号は東京」とか「環状交差点は県内ではアリーナの近くと金沢区柳町(←知ってる!)の2ヵ所」とか、フムフムと聞いているうちに終わっちゃいました。この1時間に比べると、高校の(ふつうの)授業はいかに長く感じられることか・・・。

 さて、運転免許といえば韓国関係で最近話題になっているのがその簡単すぎる試験をめぐるあれこれ。たとえば2015年8月27日<レコードチャイナ>の「「50メートル直進で合格」韓国の簡単過ぎる運転免許試験に、中国人が大挙押しかけ」と題した記事(→コチラ)。
 「2011年に国民の負担軽減を目的に運転免許試験が大幅に簡略化されて以来、中国から免許取得のため訪韓する人が増えているが、一方で安全に対する懸念も高まっている」という韓国・YTNテレビの報道を伝えています。あまりに簡単に、また安く免許を取得できるので、中国等から大勢免許目的で来るようになり、上海市は韓国での取得免許を認めない方針を決めたとも・・・。
 また、今年1月31日の<IRORIO>「簡単に取れすぎて怖い?韓国の運転免許試験」という記事(→コチラ)には、「日本の場合、数ヶ月間教習所に通うか、合宿で2週間程度」はかかるのに「韓国では全く運転知識や技術がない人でも最短3日間で取得できてしまいます」というその試験がいかに簡単かを示すとともに、「免許取得1年未満のドライバーの事故件数が、2010年8,200件から2012年9,200件と24%増加」しているという数字をあげています。
 ここで、とくに「簡単になった」というのは技能検定のことです。

 日本では、免許を取るには、次の[A][B]の2つの選択肢があります。
[A] 自動車教習所で、①技能検定(教習所内) ②技能検定(路上) ③運転免許センターで学科試験
[B] 運転免許センターで、①技能検定(センター内) ②技能検定(路上) ③学科試験

 韓国でも、日本と基本的に同じです。ところが2011年韓国道路交通公団は次のような内容の「運転免許試験制度の改善」を発表し(→コチラ参照.韓国語)、これに基づいて道路交通法が改正されました。

○「運転免許試験場内の技能試験」を大幅に縮小する。道路走行試験(路上)と重複し、実際の運転にさほど役立たない。教習所(韓国語では運転専門学院(운전전문학원))での技能講習を25時間から8時間に減らす。試験場内の技能試験はOECD加盟国では韓国と日本にしかない制度で、米英などでは学科試験や適性検査に合格すると練習免許を受けて、道路で運転の練習をして試験を受けることができる。自動車は道路を走行するためのもので、運転の練習も当然道路ですることが望ましい。
○試験場内の技能試験は簡素化するが、ほとんどの先進国で実施されるように道路走行試験は厳格に行い、交通安全が担保されるようにする。
○試験場内の技能試験が難しいため、大半は自動車教習所を利用しているが、このために少なくとも9日、平均76万ウォンほどの費用がかかり、時間的・経済的負担になっている。庶民の生計と学業のため、この負担を軽減しなければならない。

 ・・・というわけですが、この字句の通りとくに若年層の負担軽減が第一目的だったのか、李明博大統領(当時)の「人気取り」政策だったのか、あるいは別に「何か」ねらいがあったのか?
 それとも「こんなめんどくさいことをやってるのはあの日本とウチらだけだ!」という意識も大きく(?)作用したのか?(笑)
 ※この数字を見ると、たしかに日本の免許取得に必要な時間と費用は相当なものであることはたしかですが・・・。しかし、試験場での「一発試験」が今より簡単なレベルになるのも韓国の例を見なくても問題はあるでしょうね。ちなみに一発試験の合格率は5%くらいだそうです。

 で、どれだけ簡単になったかというと・・・。
 上図は2011年の改定以前の技能試験コース。(日本人にしてみれば)まあこんなところだなと思いますが・・・。
 ところか、改定後のコース(下)を見ると、アリャリャです。


 なんだ、これは?と笑っちゃうレベル。  1.停止状態で運転装置の操作。エンジンかけ、ギアを変更し、ヘッドライトを点け、ウィンカーを動かし、ミラーを調整し、ワイパーを操作し確認します。あ、まずシートベルト着用を忘れると即アウト、ですね。
 2.走行状態で運転装置操作。突発時を想定し急ブレーキをかけます。といっても、全部で50mの距離なので、その先を左折して・・・。
 3.試験終了。アラ、もうオシマイ。S字、坂道発進、車庫入れ等々初心者が苦手とする項目は皆無です。

 では、「厳格に行う」という道路走行試験はどうなのでしょうか?
 昨年夏頃から(?)、韓国の各メディアでは「簡単すぎる免許試験」を批判的に取り上げていますが、今年1月8日の「朝鮮日報」には「目をつぶっても受かるという運転免許・・・5分の動画だけ見て技能試験'満点合格'」という記者自身の体験記事(→コチラ)がありました。その動画では「50m走行ではアクセルは踏まずにブレーキから足を離すだけでよい。下手にアクセルを踏まない方がよい」といった実戦的な方法を教えてくれたとかで、首尾よく満点合格とこと。次の筆記試験でも、スマホで模擬試験を取り込んで3回やってみた後、本番では86点で合格。30分後の発表で高得点者になっていた、とあります。そしていよいよ最後の難関の道路走行試験。5つのコースごとに15分内外の動画を視聴した後試験用乗用車に乗り込んだのは「生まれて初めての運転」とのことで「試験場を出るのに手足がぶるぶる震えた」
とは! 「アクセルとブレーキがあまりにも軽かった」という記者氏、急発進と急停車を繰り返し、結局途中で合格ラインの70点を割ってしまって不合格に。「幸いなことに脱落した」というのは本人だけの感想ではありません。
 他の韓国ブログにあった道路走行試験の図を下に貼っておきます。
 これを見ると、コースの途中には初等学校(小学校)や老人会館もあったりして、上記の記者のような未熟な運転者の車が走行するにはどうみても危険です。

 2011年の改定の年には、「朝鮮日報」も「日本で免許を取るには450万ウォンもかかるが韓国では50万ウォンですむ」とか「だから東南アジアの労働者や、時には日本人も韓国に来て免許を取る」といったことを肯定的に報道していました。(→コチラ。) ところがここに至ってメディア&世論は批判一色のようです。これを受けて
今年1月27日韓国警察庁は「初心者ドライバーの安全運転能力の向上のため」今年下半期に施行予定という「運転免許試験改善案」を発表しました。(→「東亜日報」参照。) そこで提示された試験場内技能試験のコースは下のようなものです。
 要するに、ある程度難しくなるということ。具体的には
 ①コースを300m以上に延長する。
 ②次の5つの評価項目を追加する。左右回転・信号交差点・スロープ・前進加速・直角駐車

 ・・・と、このようなニュースが伝えられた後、「免許を取るなら今のうち」とばかり多数の受験者が試験場に押し寄せているそうです。さもありなん。
 うーむ、この記事もまたちょっと深入りしすきたかも・・・。

 午前中に新しい免許証を受け取った私ヌルボ、精神的に疲れたこの日の午後、今度は体力的に疲れる所に行ってきました。というのが次の次の記事になるはずです。

★この記事をまとめる中で知った韓国と日本の普通免許の相違点(私ヌルボがちょっと興味を持った事柄)
 ○日本では、バスやタクシーなどの運転者が第二種運転免許で、その他一般の免許が第一種運転免許だが、韓国ではバスやタクシーなどの運転者の方が第一種である。
 ○視力について。日本では両目で0.7以上、・・・とだけ思っていましたが、厳密には片目でそれぞれ0.3以上で両目なら0.7以上。また片目が0.3以下でも、もう1つの目の視力が0.7以上で左右の視野が150度以上ならOKとのことです。で韓国の場合は、左右いずれかの視力が0.5以上で、もう一方の視力が0.8以上。
 ○免許の更新は日本では5年ごとだが、韓国では10年ごと! 手続きの期間は、合格(または更新)から10年後の年の1月1日~12月31日の1年間。
 ○交通違反や事故等による罰点が基準を超えると免許が取り消される。その基準は1年間120点、2年間200点、3年間270点の累積減点。ちなみに、20㎞/hを超える制限速度違反は罰点15点。血中アルコール濃度0.05%以上0.1%未満の飲酒運転は罰点100点。※日本では0.05%以上でで免許取消。
 罰点は免許更新手続とかとは関係ないのかな?(講習等)

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